2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730006
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
赤城 美恵子 帝京大学, 法学部, 講師 (60374881)
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Keywords | 中国法制史 / 清朝初期 / 裁判制度 / 滞獄 |
Research Abstract |
本研究は、犯罪者を拘禁しておきながら裁判手続を進めることなく未決のまま獄に放置するため生じる「滞獄」問題に対して清朝が講じた対策及びその実態を解明し、清朝司法制度の持つ特質を考察する際の手がかりとすることを目的としている。 本年度は、調査・収集した史料を分析し、清朝初期の滞獄解消問題をめぐり、当時いかなる対策が検討され、実施されたのかについて明らかにした。清朝初期において、滞獄解消のために、二通りの方法が議論された。このうち、「五年審録」は中央からの官員の派遣をともない、大がかりで繁雑な手続であった。これに対して、文書行政の徹底は、日々の裁判業務の枠組みの中でなし得る。清朝は、順治11・12年頃に文書行政徹底による滞獄解消を繰り返し命じ、また同時期に、事案処理期限の設定など、文書行政を徹底させるための様々な法制度を整備していった。以上について、第32回東洋法制史研究会夏合宿において、「清朝初期における滞獄解消問題について」と題して報告を行った。 ではなぜ清朝は文書行政の徹底による滞獄解消へと向かったのか。上記報告においては、この問題にまでは言及しなかったが、研究を進める中で、王朝初期における滞獄解消の持つ理念的な意味及びそれに対する清朝の認識、また清朝初期の滞獄問題と清朝中・後期に現れる「積案」(滞獄同様、事案が未処理のまま積み上がることを意味する)問題との間にある差異、さらには清朝初期に進行していた裁判手続の画一化や司法権の皇帝への集中などの観点からの検討が重要であるとの見通しを得た。
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Research Products
(1 results)