2012 Fiscal Year Research-status Report
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24730014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河北 洋介 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 助教 (30613286)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カナダ憲法 / 司法積極主義 |
Research Abstract |
平成24年度は、カナダの裁判所のシステムや判例を検討した。カナダにおける司法積極主義への批判として、国民が直接裁判官を選挙しないという意味で民主的な機関ではない裁判所が、なぜ立法府の判断に好意的ではない態度を積極的に示すことができるのかというものがある。そこで、カナダ最高裁判所の裁判官への任命の手続なども調べた上で、まずは裁判所自体がどのようになっているのかという実態面を調べた。その上で、カナダ最高裁判所が民主主義システムのなかでも重要な権利である選挙権についてどのような判断を下しているのかを調べ、選挙権に関する判決においてもカナダは司法積極主義であることから、民主主義あるいは民主政そのものをカナダにおいてどのように捉えるべきかを考察している。 また、日本においても、一票の較差の問題で衆参両議院ともに最高裁の違憲状態の判決が下っている。衆議院議員選挙の違憲状態の最高裁判決については以前検討を加えた上で論稿を公表したため、平成24年度は参議院議員選挙の違憲状態の最高裁判決を検討し、東北大学大学院法学研究科で開催される公法判例研究会で報告を行った。これにより、日本での選挙権の議論状況や一票の較差の問題についての考え方を理解することができ、日本とカナダの比較を行う上で有益であった。 さらに、本年度は、本研究とも関係が深い博士論文の要旨を公表することができた。これにより、今までの研究の方向性を再認識することができ、本研究とのつながりを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カナダの司法積極主義を考える上で、選挙権の判例が重要であることが分かったことは、議会と裁判所の関係を考えるということのみならず民主主義と立憲主義の関係を解き明かすという本研究目的との関係でも有益であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度から、名城大学大学院法務研究科に研究環境が変わり、カナダ憲法の研究者との交流が行いやすくなるということはいえる。愛知県にはカナダ憲法の研究者がいるために、勉強会などの交流で今後の研究の推進になる。また、地理的にもいろいろな場所に移動可能になったために、研究資料の収集や研究会などの参加がしやすくなるために、今まで以上に研究を行いやすくなると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していたカナダでの資料収集を次年度以降に延期することによって生じたものであり、延期したカナダでの資料収集に必要な経費として平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(1 results)