2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730014
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
河北 洋介 名城大学, 法務研究科, 准教授 (30613286)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カナダ憲法 / 司法積極主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多文化主義国家カナダにおいて、1982年カナダ憲法の制定により、カナダの裁判所が司法積極主義の姿勢を強めていることから、カナダにおける司法積極主義の特徴とは何であったのかを検討することにあった。そのため、カナダにおける司法積極主義に関する文献、主要判例、議会と裁判所の関係などを考察の対象として、これまで検討を行ってきた。 平成26年度は、同性婚を法制化することが問題になった照会事件について、カナダ最高裁の勧告的意見を紹介・検討する論稿を公表した。下級審(EGALE Canada v. Canada(以下、EGALE控訴判決)、Halpern v. Canada(以下、Halpern控訴判決)、Hendricks c. Quebec(以下、Hendricks地裁判決))において、同性婚を承認する方向の判断がなされていたこともあり、政府は上告するのではなく、照会制度を用いることにより、市民婚姻法案についてカナダ最高裁に勧告的意見を求めた。それについて、カナダ最高裁は、政府が回答を求めた4つの質問事項についての意見を述べた。そこでのカナダ最高裁の意見は、基本的には、EGALE控訴判決、Halpern控訴判決、Hendricks地裁判決までの訴訟に現れた考え方に従い、特に、Halpern控訴判決の影響を受けて、カナダ最高裁は、同性婚を承認すると結論付けたということができる。 本研究を通して、カナダにおける司法積極主義の特徴として、裁判所は、議会との対話を通じて、マイノリティの権利保護を志向していると考えることができる。
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Research Products
(1 results)