2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中林 暁生 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (70312535)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人権総論 / 公務員の人権 |
Research Abstract |
平成24年度に行った研究は,大きく3つに分けることができる。まず第1に,本研究の分析視角を確立することを目的として,アメリカ合衆国における公的雇用関係についての歴史的な展開過程を研究した。第2に,日本における公務員の人権をめぐる問題を研究した。実は,この研究を行うことは,当初の研究計画に含まれていたわけではなかった。しかしながら,いわゆる「国公法二事件」において,最高裁が画期的な判決を下すことが予測されたため,研究計画を変更し,この研究を新たに追加したのである。具体的には,まず,国家公務員法,人事院規則14―7に関する研究と国家公務員の政治活動についての日本の判例についての研究を行った。その上で,これらの研究成果を踏まえて,12月7日に言い渡された国公法二事件上告審判決についての分析を行った。この結果,公務員の政治活動の制限についての本研究の問題意識を確立することができた。第3に,「規制と給付の二分論」についての研究を行った。「規制と給付の二分論」を取り込んだ人権総論の構築を目指すという本研究にとって,この「規制と給付の二分論」についての研究は重要な意味を持っている。本年度は,本研究と「規制と給付の二分論」との関係を念頭に置きつつ,日本の憲法論の中における「規制と給付の二分論」の位置づけを探った。具体的には,日本の判例を素材としながらこの研究を行ったが,その結果,次年度以降この研究をさらに深めていくための指針を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,平成24年度はアメリカの研究を中心に行うつもりであったため,途中から日本についての研究を追加したため,アメリカについての研究が少し遅れた。しかしながら,最新の日本の判例についての分析を行ったことにより,公務員の政治活動の制限という,本研究においても重要な意味をもつテーマにつき,本研究の問題意識を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の都合により,アメリカについての研究を行うという平成24年度の研究計画が少し遅れたので,平成25年度の研究は,その遅れを取り戻すことが第一の目的となる。その上で,平成25年度は,アメリカの公的雇用関係における人権保障についての研究を行う。具体的には,政治活動の自由や表現の自由に関する判例の展開についての研究を行う予定である。また,本研究の基底をなす「規制と給付の二分論」についての研究も継続して行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内外から文献を収集しながら研究を行う予定であるが,重要と思われる判決については,Briefs等も入手しながら研究していく予定である。なお,本年度は,当初,アメリカについての研究が一定の段階に至ったら,その段階で渡米し,現地で資料収集を行うことを予定していた。しかしながら,研究計画の変更に伴い,アメリカについての研究に少し遅れが生じてしまい,年度内に渡米して資料収集することができなかった。そこで,次年度は,本年度遅れた分を取り戻す予定なので,資料収集のための渡米も次年度中に行う予定である。
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Research Products
(3 results)