2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
斎藤 一久 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50360201)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ドイツ / 基本権 / 介入 / 三段階審査論 / 違憲審査基準 / 憲法訴訟 |
Research Abstract |
今年度は、主として(1)三段階審査における介入(Eingriff)概念の位置づけ、及び(2)日本国憲法解釈における介入概念の体系化について研究を実施した。 まず(1)については、日本における三段階審査論に関する議論と、ドイツのオリジナルの審査論とのズレを整理した上で、介入概念に焦点を当てた。ドイツ国内での批判等も踏まえながら、日独双方の介入概念を整理し、比較検討を行った。またドイツにおける第一段階と第二段階の相対化、すなわち保護領域と介入の相対化の問題についても、並行して検討した。 (2)については、まず原語のEingriffの訳語をめぐる議論から整理し、このような概念自体がそもそも不必要であるという説についても含めて、比較検討した。さらに日本における類似の概念について、最高裁が、東京都公立学校の教職員への国旗・国歌強制をめぐる訴訟判決(最判平成24年1月26日)で、間接的制約という概念を用いている点について、ドイツの間接的制約(mittelbare Eingriff)との比較分析を行った。暫定的な結論としては、最高裁が用いている間接的制約の概念は、直接的制約の隠れ蓑としての使い方と言わざるを得ず、ドイツのように、規範の名宛人に向けられた負担的な効果が第三者に及ぶ場合に限定して用いるべきであるとした。なお当該研究成果ついては、第42回の日本教育法学会(埼玉大学)の自由研究報告にて報告を行い、同学会の紀要に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本における文献研究は十分に達成できた。ただし、ドイツにおいて調査研究する予定であったが、実施できなかった。その代替として、ゲーテ大学フランクフルト・アム・マイン法学部のウテ・ザクソフスキー教授が来日した際に、本研究についての意見交換を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、先に掲げた(1)及び(2)を引き続き検討するとともに、(3)介入概念の新しい機能について研究を行う。介入概念の新しい機能については、アメリカ合衆国のNudgeやアーキテクチャーの議論との近接性が見られ、このような観点も踏まえ、総合的に研究を行いたい。 次年度も、ドイツにおいて調査研究できるかどうか未確定ではあるが、難しい状況ではあるため、最終年度に比較的長期に滞在し、研究をまとめる可能性が現在のところ高い。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述したように、ドイツでの滞在研究の日程については流動的であるため、海外での研究費も現在のところ、次年度か、最終年度か確定していない状況ではある。
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Research Products
(2 results)