2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730016
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
斎藤 一久 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50360201)
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Keywords | ドイツ / 基本権 / 介入 / パターナリズム |
Research Abstract |
今年度は、主として(1)日本国憲法解釈における介入概念の体系化、(2)介入概念の新しい機能についての研究を実施した。 まず(1)については、前年度の研究成果をベースに、昨今、日本国憲法の中で三段階審査論を定着させようとする試みの中で紹介・議論されている介入概念を分析した。暫定的な結論ではあるが、介入概念については、未だ学界では十分に理解されていないとの認識に至っている。この理由として、概念自体がドイツ憲法学固有のものであること、そしてドイツと日本の基本権解釈のプラクティス上の意識差のズレが根底にあるように現段階では考えているが、今後、この点については重点的に検証を加え、介入概念の体系化を目指したい。 また介入概念類似の考え方として、最高裁の間接的(付随的)制約との関係を検討した。もっとも最高裁の用いる当該概念は、介入概念と比べると、アドホック感が否めず、体系化できるほどの意義はないとの結論に現段階では至っている。 さらに(2)について、国家の制御システム、すなわち統治テクノロジー的視点から研究を実施した。主として様々な行政手法(間接的誘導)との関係で、具体的な事例を通じて検討を行ったが、対象分野が広いということもあり、網羅的検討は予想以上に困難であることが明らかになった。それゆえ、言論市場をより中心に据えた上で、ハーバード大学のキャス・サンスティン教授が主張するNudgeなどの観点も踏まえつつ、引き続き検討したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本における文献研究は十分に達成できた。しかし、ドイツにおいて調査研究を実施する予定であったが、できなかった。その代替として、ゲーテ大学フランクフルト・アム・マイン法学部のウテ・ザクソフスキー教授と、メールにより意見交換を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究のまとめ行い、成果発表の準備をしたい。加えて、次年度はドイツにおいて調査研究を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、ドイツにおける調査研究を予定していたが、次年度に実施することとしたため。 次年度にドイツで長期に調査研究を実施し、当初の使用計画を遂行する予定である。
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Research Products
(4 results)