2012 Fiscal Year Research-status Report
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24730025
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
葛西 まゆこ 東北学院大学, 法学部, 准教授 (90433862)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換 ドイツ |
Research Abstract |
2012年度は、(1)日本における生存権に関する立法裁量と制度後退禁止原則についての今までの裁判例、学説を整理したうえでドイツと比較して問題点を明らかにすること、(2)アメリカにおける「福祉国家」をめぐる議論を検討し、社会権規定がないアメリカにおいても維持されてきた最低限度の福祉政策のラインを探ることを目標に研究を進めてきた。具体的には、(1)に関しては、日本の議論の整理を行いつつ、ゲッティンゲン大学のHeun教授を訪ね、アメリカにおける医療保険改革法の合憲性の問題についてドイツ法の立場からの見解を伺い、(2)における検討の一材料ともした。(2)については、小谷順子ほか編『現代アメリカの司法と憲法』所収の拙稿「『福祉国家』と憲法解釈」においてアメリカを比較対象として検討を行い、また同書にて小山剛教授によるドイツを比較対象とした「『社会国家』と憲法解釈」との相互対話を行うことにより、(1)の視点からも検討を行った。 以上のような作業を経て、厳しい国家財政に鑑みてもなお、生存権に関する立法裁量について、制度後退禁止原則によって統制されるべき歯止めを明らかにすることを目的とする本研究について、一定の段階まで研究を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では2012年度中に渡独と渡米を行い、現地調査、資料収集を行う予定であったが、本務校の仕事のスケジュールなどもあり、ドイツでの調査は行うことはできたが渡米することができなかった。しかし、それを除いては、当初の予定通り、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、生存権に関する立法裁量について、制度後退禁止原則によって統制されるべき歯止めを明らかにすることを目的とする本研究のまとめを行う。具体的には、日本での議論を再整理しつつ、アメリカでの議論、調査を行い、参加している研究会で適宜研究成果を報告し研究者との議論を踏まえた上で、結論を示すこととしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は渡米を予定しており、また東京で行われる研究会に参加することも予定しているため、旅費を30万円支出することを予定している。また、研究書(特に洋書)、プリンターのインク代、紙代などの消耗品費などの物品費として20万円を支出することを予定している。
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