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2012 Fiscal Year Research-status Report

デジタル化時代におけるメディアの自由の再構成

Research Project

Project/Area Number 24730026
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionSeijo University

Principal Investigator

西土 彰一郎  成城大学, 法学部, 准教授 (30399018)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsドイツ / 内部的メディアの自由 / 職能的基本権 / ジャーナリズム / デジタル化 / 編集権 / 放送の自由 / 公共放送
Research Abstract

平成24年度の研究の目的は、「デジタル化時代における内部的メディアの自由の意義」を解明し、最終的には『内部的メディアの自由』と題する論文集への寄稿論文を執筆することにあった。この研究を実施するために、①日独における内部的メディアの自由に関する文献の収集・読解、②内部的メディアの自由の理論的背景を探求するべく日独の研究者・ジャーナリストとの意見交換、をそれぞれ計画していた。いずれの研究計画も実施に移し、内部的メディアの自由の理論を構築する手がかりを得て、論文を執筆することができた。
まず、邦語文献の読解と日本人研究者、さらには現場のジャーナリスト(放送番組制作者)との定期的な交流を通して、メディア経営者の絶対的な統制管理権を意味する日本に固有の「編集権」概念の構造、それが日本のジャーナリズムに及ぼしている影響、ジャーナリズムのあり方に反省を迫りつつあるデジタル化時代における、ジャーナリストに定位した内部的メディアの自由の必要性について、それぞれ問題意識を深めることができた。そのうえで、内部的メディアの自由の理論を構築するべく、とりわけ、この分野で最先端の議論を展開しているドイツの学説を、基本権理論、職能組織論等をも含めて分析した。その際、ドイツにおける内部的メディアの自由論の第一人者であるホフマン=リーム教授との交流を通して、ドイツの理論の背景をも探るように努めた。こうして、論文「内部的メディアの自由の可能性」を平成25年3月に擱筆した。
本研究は、デジタル化という技術的現象のみならず、その基底にある社会の機能的分出化をも踏まえた基本権理論一般を基礎にすることにより、日本のメディアの自由論に対するオルタナティブとしての意義を有している。また、職能の機能性に注目して従来の基本権理論に反省を加えつつある最近の憲法学説に対しても一定の寄与をなしうるものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度の研究の最終目的は、内部的メディアの自由に関心を有する研究者とともに『内部的メディアの自由』と題する論文集の公刊を具体的に計画すること、それに寄稿する論文を執筆すること、の二点であった。その意味で、この論文集が平成25年夏に日本評論社から公刊される目途が立ち、論文「内部的メディアの自由の可能性」を執筆することができたのは、大きな成果である。加えて、本論文集に寄稿したドイツのホフマン=リーム教授の論文「規律任務としての放送の独立性」を翻訳する中で、ドイツにおける内部的メディアの自由論の背景を分析することができたのも、本研究を進めるうえで大きな糧となった。
また、内部的メディアの自由論とは直接関係しないものの、「通信・放送融合時代の公共放送のあり方」という論文を『放送メディア研究』(2013年2月)誌上で公表することができた。この執筆を通して、広い意味でのメディアの自由論の一断面を明らかにすることができたように思う。
他方で、内部的メディアの自由の理論を構築するためには、基本権理論のみならず、組織論等の隣接分野の知見も必要となる。しかし、平成24年度は、この点の分析を十分に行うことができず、この意味で、論文「内部的メディアの自由の可能性」はまだ発展の余地があることを率直に認めなければならない。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度は、内部的メディアの自由の理論を多面的に展開するために、社会学や組織論等の議論を引き続き分析する。その最終目標として、幅広いドイツ人研究者・ジャーナリストから意見を仰ぐ意味でも、ドイツにて内部的メディアの自由に関する論文を公表することを目指したい。イルメナウ工科大学のフェヒナー教授から、同教授を編者とする書籍上での論文公表について、既に承諾を得ている。
また、当初の研究計画の通り、「デジタル基本権」の諸相についての分析を開始する。その際、まずは、「デジタル基本権」概念を提示した2008年のドイツ連邦憲法裁判所の判決の構造と射程を、この判決に主導的な役割を果たした前連邦憲法裁判所裁判官のホフマン=リーム教授との意見交換を通して明らかにしていきたい。そこから、「デジタル基本権」一般の可能性を、関連する判例・学説の分析により析出して、論文としてまとめることにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

以上から、研究費の使用計画として、
①「内部的メディアの自由」および「デジタル基本権」に関連する邦語・ドイツ語文献の購入
② ドイツにおける「内部的メディアの自由」の理論・実務状況、「デジタル基本権」理論の構造等について、ホフマン=リーム教授、フェヒナー教授をはじめとするドイツ人研究者と意見交換をするために、また、この方面の資料を収集するために実施するドイツ渡航のための費用
の二点を中心に考えている。また、場合によっては、ドイツでのインタビュー等をまとめるために必要となるパーソナルコンピュータの購入も検討している。

  • Research Products

    (6 results)

All 2013 2012

All Journal Article (2 results) Book (4 results)

  • [Journal Article] 通信・放送融合時代の公共放送のあり方―財源問題を素材にして―2013

    • Author(s)
      西土彰一郎
    • Journal Title

      放送メディア研究

      Volume: 10 Pages: 209-240

  • [Journal Article] 「国民の知る権利」実現の期待に応えるために2012

    • Author(s)
      西土彰一郎
    • Journal Title

      新聞研究

      Volume: 737 Pages: 26-29

  • [Book] 内部的メディアの自由2013

    • Author(s)
      花田達朗
    • Total Pages
      印刷中
    • Publisher
      日本評論社
  • [Book] エッセンス憲法2012

    • Author(s)
      安藤高行
    • Total Pages
      267
    • Publisher
      法律文化社
  • [Book] レクチャー情報法2012

    • Author(s)
      松井修視
    • Total Pages
      270
    • Publisher
      法律文化社
  • [Book] 新・判例ハンドブック憲法2012

    • Author(s)
      高橋和之
    • Total Pages
      267
    • Publisher
      日本評論社

URL: 

Published: 2014-07-24  

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