2013 Fiscal Year Research-status Report
国連安保理に対する法的コントロールの実証研究:国際組織における立憲主義の模索
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24730034
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
丸山 政己 山形大学, 人文学部, 准教授 (70542025)
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Keywords | 国際立憲主義 / 国連安全保障理事会 / 狙い撃ち制裁 / 法的コントロール / 保護する責任 / 国際刑事裁判 |
Research Abstract |
(1)平成25年度は、これまでの研究をもとに世界法学会研究大会において「国連安全保障理事会と国際法の「立憲化」―法的コントロールの問題を中心に」と題する報告を行った。狙い撃ち制裁、国際刑事裁判および保護する責任に関する実行の分析をもとに、国際司法裁判所だけでなくその他の国際司法機関や、総会や人権機関などの政治的機関や事務総長や国連人権高等弁務官など様々なアクターが法的コントロールを行う契機があることを示唆した。その後同名の論文を世界法年報に掲載することができた。 (2)上の作業を行うなかで、本研究でいう法的コントロールは決議1373や決議1540に基づく実行(いわゆる「国際立法」の事例)においてもありうるのではないか、またそうした法的コントロールの実態が「国際立法」の議論に与える影響もあるのではないか、との疑問を抱くにいたった。そこで、そうした仮説を検証するための作業も開始した。26年度中に論文として公表したいと思っている。 (3)また、『国際法基本判例50[第2版]』のカディ事件部分を執筆した。同カディ事件については、その後再び提訴され欧州司法裁判所によりカディに対する措置を改めて無効にする判決が出されたが(いわゆるKadiII)、執筆にあたってはそうした最新の判決も分析した。欧州司法裁判所は、制裁委員会がカディをリスト化するさいの根拠の中身に踏み込んで、根拠の不十分さを理由にカディの請求を認めた。法的コントロールの観点から大変興味深い判決のように思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の世界法年報に掲載した論文等において、国連総会や事務総長、人権機関など様々なアクターによる法的コントロール・メカニズムの構造を詳細に検討することは出来ていないが、今後検討していくうえでの出発点を明確にすることはできた。また、研究の副産物として、カディII事件の分析を行う機会をもつことができたし、いわゆる「国際立法」に関する実行を分析するための新しい視点も見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は本研究の最終年度のため、積み残された課題(様々なアクターによる法的コントロールが安保理の行動に及ぼしている影響の実態の解明や法的コントロールの視点がいわゆる「国際立法」に関する議論にいかなる影響を及ぼしうるかなど)に取り組みつつ、これまでの成果を見直して、理論的なまとめの考察を行う。最終的には単著として出版する目処をつけたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学内業務との兼ね合いで、予定していた海外インタビュー調査・資料収集を実施できなかったことによる。 現在の研究進展度合いに鑑みて、平成26年度はいったん研究をまとめることに注力した方が良いと考えている。そのため、最新の文献購入費と資料収集・国内研究者との意見交換に要する国内旅費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)