2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 史子 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (60362547)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際海上物品運送 / 裁判管轄条項 / 船荷証券 / 運送契約 / 国際裁判管轄 / 合意管轄 / 訴訟競合 / 船舶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主な検討事項、すなわち、海上物品運送契約における裁判管轄条項の効力の限界とこれを有効と解することの合理性については、前年度に公表した論文(「国際海上物品運送契約における裁判管轄条項(1)(2・完)」法学論叢174巻2号1-30頁、174巻3号1-26頁(2013))において一応の取りまとめを行っている。しかしながら、積み残しがあったほか、取りまとめを通じて、合理性を論じるには、海上運送取引における債権の実現方法全般を視野に入れる必要があることも認識した。本年度は、このような問題意識から研究を進め、最終的な解を出すには至らなかったものの、海上運送取引をめぐる利害状況の一端を明らかにできたと考えている。具体的には、以下の事項を検討した。 1.前年度までは合意の効力という側面に焦点をあてて研究を進めてきたが、本年度は、特に、実際に法的紛争が生じた局面での法廷地選択という観点から、検討を行った。前年度までの研究成果を踏まえて、紛争発生後における船荷証券上の管轄条項の実際上の効果について考察したほか、海事債権の実現には船舶の差押え(アレスト)がよく利用されることから、アレストに関連する国際的な議論状況をいくつか紹介した。また、欧州で1956年の国際道路物品運送条約(CMR)の下で生じている訴訟競合の事案を紹介し、国際運送に関する条約とEUの管轄、判決の承認執行及び訴訟競合を規律する規則との間に存在する緊張関係を示した。 2.前掲論文を執筆した際の調査では、荷主から運送人に対する請求と運送人から荷主に対する請求とを区別して、管轄条項を定めている例が少なくないことが明らかになった。この扱いの相違は利害状況の相違に起因するものと推測されることから、運送人から荷主に対する請求のうち、近年大きな問題となっている荷送人の危険物申告義務に関わる判例学説について、検討を行った。
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Research Products
(6 results)