2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730040
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
加々美 康彦 中部大学, 国際関係学部, 准教授 (30449889)
|
Keywords | 国際法 / 海洋法 / 海洋政策 / 島嶼 / 海洋保全生態学 / 大陸棚 / 境界画定 |
Research Abstract |
本研究は主に生態系保全、資源開発、境界管理に係る法制等を対象として、島嶼国(部)の周辺海域における管理実行の研究を通じ、それらが現代海洋法秩序にいかなる影響を及ぼしているのかを特定し、「島嶼国際法」として体系化することを目的とする。 2年目となる本年度は、島嶼をめぐる資源開発及び海洋境界の管理に焦点を当て、関連法制や実行の検討を進めた。成果として、まず、昨年度に同名の共著論文として発表したものを更新し拡充して「沖ノ鳥島の管理・利活用は国際公益の大義のもとに」(2014年1月19日, 東京都産業労働局「第8回沖ノ鳥島フォーラム」)として講演した。 つぎに「黒海海洋境界画定事件」杉原高嶺・酒井啓亘(編)『国際法基本判例50(第2版)』(2014年3月, 三省堂)では、国際法上の島の地位がクローズアップされたICJ判決を、島の問題に着目して整理した。 さらに、日本水路協会主催の国際シンポジウム(International Workshop on the Legal Aspects of the Establishment of the Outer Limits of the Continental Shelf (24-25th March, 2014))において、"CLCS's Decision regarding Japan's Submission"と"Some issues in the CLCS's decisions regarding Japan's submission concerning the Oki-no-Tori Shima Island"として講演を行った。前者は、大陸棚限界委員会による日本の申請に対する勧告の問題点を指摘するものであり、後者はそれとの関係で日本の沖ノ鳥島を中心に、中国と韓国の島嶼管理に関する動向との比較研究を行うものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年度目の本年は、①島嶼国(部)に適用のある海洋資源開発管理法制や政策運用、②境界画定とその前提となる境界設定、そして島嶼国(部)の抱える諸問題、実行に関する情報収集・聞き取りを行うため、海外調査を実施するという計画を立てた。 ①については、文献調査を中心に、ある程度の進展を見ることができたが、情報量が膨大かつ多様性を極めるため、整理・分析には依然かなりの時間がかかるものと思われる。 ②については、大陸棚限界委員会(CLCS)による日本の大陸棚延長申請の勧告を軸に、海外の島嶼国(部)での実行分析にかなりの時間を割いた。また本件に関しては、幸運にも水路協会(実質は内閣官房総合海洋政策本部事務局)が組織する研究委員会に所属する機会を得て、最新情報・実行に触れることができた。その成果の一部は、既に国際シンポジウムで公表することができた。 ③については、残念ながら家庭の事情により長期の海外渡航が困難となり、計画を見直さなければならなくなった。しかし、幸運にも現在所属する各種委員会が組織する国際シンポジウムを通じて、訪問予定先であった研究者らと日本国内で面会する機会を得たためある程度はカバーすることができた。そのため、海外調査を文献調査及びネット調査に切り替えて行い、可能であれば最終年度に海外調査を行えればと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初から予想していた以上に島嶼国(部)の実行は膨大・多様であるため、最終年度の整理・分析・体系化には相当時間がかかるものと思われる。そのため、主要国の実行に絞り込み、また今年度かなり進めることができた大陸棚関係の実行に焦点を当てて分析を進めるなどの工夫が必要と考えている。 また、やむを得ない家庭の事情により2年度目に予定していた長期海外調査が困難となったため、計画を変更せざるを得なくなった。しかし、現在所属する各種委員会を通じて、当初の訪問予定者に日本国内で面会が可能となっているので、その機会を得てカバーできるもものと考える。また、不足分として文献調査とウェブ調査を進め、必要であれば最終年度に短期の海外調査を実施して補おうと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
家庭の事情によりやむを得ず海外調査を断念し文献調査に切り替えたため、海外調査訪問先での謝金として予定していた金額相当分が未使用として残された。 最終年度に海外調査が可能になれば、訪問先への謝金として使用する予定であるが、それが叶わない場合には、文献調査費用として使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)