2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 彰子 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (70334745)
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Keywords | 住居侵入 |
Research Abstract |
本研究は、刑法130条の定める住居等侵入の罪について、とりわけ近年の理論的・実際的な関心の的となっている、集合住宅の共用部分やその敷地、駅舎、官公署の庁舎、店舗のような、「ある程度開かれた場所」への立入りについての同罪の成否如何を明らかにすることを企図し、昨年度は、まず同罪の客体に関わる問題のうち、「住居」以外のものについて要求されている「看守」の意義を検討して論文を公表し、それに引き続いて本年度は、大きく以下の4点の検討を行った。①「人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船」との条文の文言からすれば、あくまでも建物等の内部の空間が本来的な保護の対象であると解されるところ、古くから判例によって、一定の要件のもとで客体に含まれるとされてきた建物の周囲の敷地(いわゆる「囲繞地」)について、それが住居侵入罪の客体に含まれる根拠・要件如何。②一戸建て住宅の敷地、集合住宅の共用部分ないしは敷地、さらには(居室部分や貸店舗といったように)複数の性格の異なる部分からなるいわゆる雑居ビルの共用部分ないしは敷地、建造物の敷地などは、条文上の「住居」、「邸宅」、「建造物」のいずれに該当するのか。③建物の屋根の上や、「囲繞地」を囲む塀が同罪の客体に含まれうるか、含まれうるとして、いずれの客体に該当するのかといった特殊問題。④実行行為である「侵入」に関して、とりわけ不特定多数人が事実上自由に立入り可能な場所に、違法目的を隠して、外見上は他の利用者と何ら異ならない平穏な態様で立入る行為、あるいは、違法目的を隠して、住居権者ないしは管理権者の承諾を得て立入る行為について、それらの「侵入」該当性如何。①~③については、すでにそれぞれの研究成果を論文として公表した。④についても、本年度までに遂行した判例・学説の分析作業の結果を踏まえ、今年中にその研究成果を論文として公表することを予定している。
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