2013 Fiscal Year Research-status Report
特別刑法の明確性――罪刑法定主義の適用領域と解釈の明確性を中心に
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24730056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
品田 智史 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (60542107)
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Keywords | 刑法 / 特別刑法 / 経済刑法 / 罪刑法定主義 / 金融商品取引法 / 会社法 |
Research Abstract |
本研究では、罪刑法定主義とその趣旨の適用領域を確定し、刑罰法規とその解釈の明確性に関する基準を呈示することによって、特別刑法によって処罰される領域を明確に画定することを目的とする。 1.本年度は、昨年度に引き続き、ドイツにおける明確性の原則、証券取引法について調査を進めた。本年度秋より、ドイツにおいて長期在外研究をする機会を得られたため、現地において、ドイツの経済活動においてどのような問題があるのか、どのような行為が立件されているのかについて調査を行うことができた。 2.研究計画の当初は、金融商品取引法の罰則について最初に扱う予定であったが、会社法罰則についても並行して研究の対象とすることとした。会社法罰則は、商法から会社法が独立した際、また、現在の会社法改正の際にも、その内容に変化はなく、刑法学および会社法学の両分野から、その見直しについて意見が出されてきている。 そのため、現在の、会社法罰則の実際の運用状況について検証したところ、同罰則は金融商品取引法などに比べて刑事行政における優先順位が低く、近時の企業厳罰化の流れからも取り残されていると言えることが確認された。また、会社法罰則は比較的に抽象的な内容を持つが、処罰の限界事例はあまり立件されておらず、謙抑的なエンフォースメントがなされていることも確認された。しかしながら、会社法学説からの刑事罰を活用すべきとの提言の増加に鑑みれば、今後、会社法罰則についても、他の企業犯罪と同様に拡張的な解釈・運用がなされる可能性は十分にあり、会社法罰則の明確性について研究を進める必要が高いことが推測された(以上の内容は、山田泰弘=伊東研祐編『会社法罰則の検証』(2014年、日本評論社)において公表の予定である)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画をやや前倒しして、金融商品取引法の研究に加えて会社法罰則についても並行して研究することとなり、それに関する研究成果も公表することができた。 しかしながら、ドイツ刑法の調査が終了していないため、(1)と評価とすることはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の最終年度となる来年度は、理論的側面、実務的側面の両方から、ドイツの経済刑法、証券取引法についての調査を引き続き行い、さらに、会社法罰則についても調査を行う。 その後、以上で得られた知見をもとに我が国の金融商品取引法罰則、会社法罰則の内容について検証し、場合によっては立法的提言を行う予定である。また、他の特別刑法についても、可能であれば、ドイツにおける研究の結果得られた知見をもとに検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定されていたドイツへの資料収集について、長期在外研究として赴くことができたため、当初の見込み額と執行額が異なった。 金融商品取引法に関連して会社法罰則についても研究の対象とすることとしたため、同法に関する比較法研究に関する資料収集、および、研究成果の発表のために用いる予定である。
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