2013 Fiscal Year Annual Research Report
作為同価値性を持たない不作為犯の規範構造――機能的不作為犯論の構築に向けて
Project/Area Number |
24730062
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
松尾 誠紀 関西学院大学, 法学部, 准教授 (00399784)
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Keywords | 不作為犯 |
Research Abstract |
本研究課題は、法益危殆化状況における救助促進システムとして不作為犯論を機能的に再構築するという最終目標を達成するために、まず、不真正不作為犯とは異なり、作為同価値性を持たない不作為犯の低い違法性を基礎づける規範構造を徹底的に解明することを目的としている。従前の学説は不真正不作為犯ばかりに注目し、不作為犯全体を包括的に捉える視点を持っておらず、それゆえ、作為同価値性のない不作為犯との規範構造の相違すら明らかにできていないからである。本研究目的の達成のためには、第一に、保護責任者遺棄(致死)罪に関する検討、第二に、道路交通法上の救護義務違反の罪(道交法72条1項、117条)の検討、第三に、不救助罪(ドイツ刑法323条c等)に関する検討が必要である。平成25年度においてはこれら三つの検討課題に関する徹底したインプットの作業に取り組むとともに、各研究課題に関する検討から得た個別の研究成果を統合する作業にも取り組んだ。その成果として、各研究課題それぞれの個別的な研究成果を基礎に、ドイツ・わが国における真正・不真正不作為犯に関する基礎理論について検討結果をまとめ、研究成果の中間報告を実施した。また、ドイツ・ハイデルベルク大学にあるドイツ・欧州・国際刑法・刑事訴訟法研究所を訪問し、同所でも研究成果報告を行い、ドイツ刑法学の理解に基づく貴重な示唆も得た。
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Research Products
(3 results)