• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Research-status Report

会社における当事者自治の基本原理―法を遵守していればどこまで自由が認められるか

Research Project

Project/Area Number 24730064
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

三宅 新  北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (30621461)

Keywords商法 / 会社法 / 当事者自治 / 定款自治
Research Abstract

本研究は、会社をはじめとする組織法において、それに関わる当事者が合意したことがどこまで認められるかという意味での当事者自治について、その可能性と限界を探求していくことを目的としている。すなわち、組織に関するルールは関係者が多岐にわたるため強行法規的に規定されている、という伝統的な解釈に疑問を呈し、関係者が合意しているのであれば彼らの取り決めが優先されるのではないか、という問題を提起し、ではその取り決めはどこまで認められるかについて明らかにしていくものである。
そのような問題提起に基づく研究は、自分が2011年に提出した学位論文が基礎となっている。そこでは、主に会社法上の会社のうち、人的結びつきの強い会社について分析するものであった。本研究は、対象となる組織を会社法以外の組織に拡大するものであり、この1年間ではそれを進めることとなった。
特に、日本の組織法研究については、会社(特に株式会社)に関するものがほとんどであった。昨年度は、とりわけ営利を目的としない組織を中心に研究を進めた。すなわち、沿革や趣旨を踏まえた当該組織の性質を考慮することによって、果たして会社と同じ当事者自治の解釈が妥当するのかを明らかにしていった。
以上のような研究を進める上での具体的な活動として、昨年度は研究報告4回、雑誌への投稿2回を行なった。本年度は、そのような研究報告を踏まえた上で、上記の学位論文に加筆修正を加えて公表することを目的としている。昨年度までの研究で、その素地はかなり整ったといえる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度における当初の対象は、今まで研究対象としてきた組織法がアメリカではどのように考えられているか、というものであった。それに関するアメリカの研究も進めていったが、日本の組織法については、アメリカ法の影響は戦後顕著に現れる。そのため、日本の組織法に向けられた当初の目的を探るには、なおドイツ法の影響が強いことが明らかになった。そのため、一昨年度に引き続き、ドイツ法の研究も多く進めることになった。もっとも、このようなドイツ法研究の継続は当初の計画範囲内であり、特にドイツ法に関する研究を今まで研究対象とした組織以外にも広めていったことは、本研究の目的にさらに合致するものであった。
具体的には、営利を目的としない組織について、日本がドイツ法から受けた影響を明らかにしていった。これらの組織に関するルールは、会社法の規定に関するルールと文言が大きく変わらない。しかし、営利組織か非営利組織かという違いによって、当然当事者自治が認められる範囲は異なるはずである。この点について、日本の会社法の先行研究は、文字通り営利組織たる会社法に関する研究がほぼすべてであるといっても過言ではなく、非営利組織についての研究は新規性を有するものであり、十分な意義を有するものと考える。また、東京大学商法研究会に出席して現行法に関する解釈についても解釈論を展開するなど、沿革や理念にとどまらない成果を残した。
このように、若干の軌道修正はあるものの、本研究の目的に照らすとおおむね順調に研究は達成されているといえる。

Strategy for Future Research Activity

ほぼ当初の予定どおりである。
今年度は、2011年度に執筆・提出した学位論文に、昨年度までで追加した研究を踏まえて加筆修正をし、公表を行ないたい。特に、学位論文の内容は、形式的意味での会社法の内容に限定するものであり、非営利組織についての研究は今後の課題としていた。本研究によって、非営利組織の研究を加えていったため、学位論文における分析はより多角的な面から修正が可能となった。
各論的に推進していく内容でいえば、営利組織が提供する契約と、非営利組織が提供する契約では、組織法の点から何らかの違いが存在するかという点について明らかにしていきたい。具体的には、保険法の分野について、株式会社が提供する保険契約、相互会社が提供する保険契約、協同組合が提供する共済契約について、それぞれの契約は現在同じ法解釈が妥当すると考えられている。その傾向は、近年の保険法の制定によって、共済契約が保険法の対象となったことでいっそう強まった。しかし、組織法の観点からいうと、契約相手が会社外の第三者たる株式会社と、契約相手が会社の構成員である相互会社・協同組合では、その提供する保険・共済契約に何らかの解釈の差が存在するのではないだろうか。また、その区別を元にすると、保険と共済という区別の仕方も、別の区別の仕方が存在するのではないかと考えている。そのような仮説が成立するかについての分析を加えたい。
また、昨年度同様、北海道大学の民事法研究会に積極的に参加するだけでなく、東京大学商法研究会においても報告・発表を行う予定である。各論的な分野については、昨年度に日本保険学会に加入したため、その活動に積極的に参加していきたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

会計処理の都合上、購入したソフトウェアの支払いが次年度にずれ込んだため、10,046円の残余が生じている。
年度内に支払われなかった上記の購入費に、この分が充当されることになる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 2013

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] 商事判例研究(平成23年度 23):信用協同組合の理事選任決議における瑕疵とその取消し[大分地裁平成23.3.10判決]2014

    • Author(s)
      三宅新
    • Journal Title

      ジュリスト

      Volume: 1462号 Pages: 112―115

  • [Journal Article] 相互会社の定款における契約法的側面2013

    • Author(s)
      三宅新
    • Journal Title

      生命保険論集

      Volume: 185号 Pages: 177―198

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi