2012 Fiscal Year Research-status Report
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24730076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮本 誠子 金沢大学, 法学系, 准教授 (00540155)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 民法 / 相続 / フランス法 / 遺産管理 / 財産管理 / 遺産分割 / 相続債務 / 清算 |
Research Abstract |
今年度はフランス相続法の清算制度を分析・検討した。相続債務に焦点を絞り、フランス民法典における相続債務分割の規定、20世紀の判例法理、1976年12月31日の法律、2006年6月23日の相続法改正と、制度や考え方の変遷を分析し、以下のことを明らかにした。 フランス民法典には相続債務の分割を定めた規定が複数あり、そのうち、1220条及び873条は相続債権者と相続人間での、遺産共有中の分割割合を、870条は共同相続人間での最終的な負担を規律している。遺産共有中の分割は仮のもので、相続人間での最終的な負担は、遺産分割時に清算金という制度によって調整がなされる。 相続債権者には、遺産分割に先立って、遺産に含まれる財産から弁済を受けることが認められている。1912年のフレコン判決がその理論を示し、1976年以降815条の17が規定している。相続債権者は、遺産分割を待たずに、遺産の積極財産を差し押さえて債権回収を図ることも可能である。この方法は実務で定着しており、2006年の法律の中にも、このような清算のなされることを前提にした遺産分割の規定が見受けられる。フランス法は相続の包括承継の制度を採りながら、債務を清算するしくみを組み込んでいると言える。積極財産と消極財産を清算し、残った積極財産を各相続人に遺産分割で割り当てるということをおこなっている。 以上について、拙稿「フランス法における可分債務の相続と清算」金沢法学55巻2号(2013)209~244頁で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フランス法の理論につき、相続債務に焦点を絞って研究し、成果をまとめたことで、フランス法では相続債務の清算が可能であることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、わが国における清算制度、すなわち限定承認、財産分離、相続人不存在の場合の、基本的構造を見直し、分析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、国内外の文献を収集し、それらの読解によって分析検討をおこなう。また、渡仏して文献収集を行い、現地でインタビューをおこなうことで不明点を可能な限り解消しながら研究を進める。
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