2016 Fiscal Year Annual Research Report
Inequality between Parties and Treatment of Children in Divorce Cases~Focusing on Problem of DV cases
Project/Area Number |
24730077
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
立石 直子 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (00369612)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 夫婦の非対称性 / DV / 離婚後の親子の交流 / ジェンダー法学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度として、ドメスティック・バイオレンスの問題を素材に、夫婦の非対称性ゆえに生じる離婚法上の問題、さらに離婚後の親子の問題について引き続き検討し、学会報告や論文執筆を行った。また、研究のキーワードである「夫婦の非対称性」については、ジェンダー法学からアプローチしているため、その関係での執筆も行った。 論文執筆として、1)「婚姻前の氏を通称として使用する権利の現代的意味」『立命館法学』369=370号では、平成27年12月の最高裁決定を踏まえ、職場において婚姻前の氏の使用の意義についてジェンダー視座から論じた。また、2)「ドメスティック・バイオレンスを原因とする離婚と子の処遇 : 被害者と子どものために必要な視点とは」『法と政治』67巻1号では、DVを原因とする離婚で生じる当事者間の非対称性の問題と子どもの処遇について、あるべき方向を検討した。3)「家族法学におけるジェンダー視座の意味」『法学セミナー』737号、および4)「ジェンダー視座からみた法学教育の現状と課題」『法の科学』47号については、家族法学におけるジェンダー視座がもたらす意義やジェンダー法学教育の実際について論じた。また、5)「Domestic Violence in Japan: An Overview of the Issues in the Family Law」の執筆は、DVをめぐる国内の法制の紹介や現状について論じる書籍において、専攻する家族法の観点から執筆したものである。 加えて、ジェンダー法学会において「DV事案における離婚当事者の非対称性」として、本研究で検討した離婚法における諸問題について報告した。 研究期間全体を通じ、当事者の対等性を前提とする離婚法の下で、非対称性が顕著な夫婦にもたらされている離婚手続の問題、子の処遇をめぐる問題について示すことができたと考える。
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