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2014 Fiscal Year Research-status Report

法的親子関係の構成枠組み――生殖補助医療問題を中心として――

Research Project

Project/Area Number 24730080
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

木村 敦子  京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50437183)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2016-03-31
Keywords民法 / 親子関係 / 生殖補助医療 / 代理懐胎 / ドイツ
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、法的親子関係の成否に関する枠組みについて、具体的には、以下の研究に取り組んだ。
第一に、ドイツ親子関係法における非嫡出子の法的父子関係の成否について検討・分析を行った。具体的には日本の認知制度に対応するドイツの承認制度のほか、非嫡出親子関係に関する扶養や準正制度の分析を通じて、非嫡出子の法的父子関係の成否に関する考察を行った。この研究では、ドイツの養親子関係に関する制度を参照したり、フランス法の認知制度等と適宜比較検討したりしながら、親子関係における父母の婚姻制度の意義や父の意思の位置づけ等を明らかにすることができた。拙稿「法的親子関係の構成原理(六)」法学論叢176巻4号1-20頁は、その成果の一部である。
第二に、推定の及ばない嫡出子に関する最高裁平成26年7月17日第一小法廷判決(判タ1406号59頁①・②事件)の分析を行い、推定の及ばない嫡出子の範囲について判例や学説を再検討するとともに、日本の親子関係法の抱える課題を明らかにした。この研究成果については、いくつかの論文において公表している。
第三に、法的親子関係の構成原理の背景にある家族制度や婚姻制度の意義の変容を探る研究に取り組んだ。ドイツや日本における家族のあり方とその変容の要因等について、家族社会学に関する文献を手掛かりに考察した。
特に本年度は、第二点目で指摘した判例分析などの日本法の検討・分析を行う上で、これまでの研究により得られた比較法的検討にもとづく示唆をふまえながら研究を進めることとし、研究成果のとりまとめを念頭においた研究を遂行した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成26年度は、本来であれば本研究の最終年度であり、その成果をまとめるべき一年であった。しかし、昨夏の怪我のため、ドイツでの資料収集・インタビューが実施できず、成果のとりまとめに必要な作業に着手することができなかった。その結果、日本での文献調査にとどまり、最終成果をまとめる上で不可欠であるドイツの家族制度とその変容に関する社会状況について必ずしも十分に研究できなかった。
また、その他の研究内容についても、法的親子関係の成否全体に関する検討・分析をとりまとめる段階に必ずしも達することができなかった。その要因として、まず非嫡出子の法的親子関係の成否に関するドイツ法の制度分析に時間を費やすこととなり、嫡出子・非嫡出子の双方の研究成果を総合的に考察できなかったことが考えられる。二つ目の要因として、推定の及ばない嫡出子の範囲に関する重要な最高裁判決が出たことにより、この判例分析並びにこれに係る日本の議論状況の見直しに迫られたためである。もっとも、これら二つの研究成果は、法的親子関係の成否を定める枠組みの分析にとって不可欠であり、本年度取り組んだ作業は本研究にとって重要な意義を有するものである。たしかに研究目的の達成度としては現時点でやや遅れていると評価せざるを得ないが、最終年度のとりまとめに向けての足がかりを築くことができたと考えている。

Strategy for Future Research Activity

最終年度にあたる平成27年度は、これまでの研究成果をとりまとめ、日本法への示唆・提言を明らかにする。
前半期は、これまでのドイツ親子関係法の研究成果をふまえ、ドイツ法の分析により得られた法的親子関係の構成原理と衡量基準を明確化することを目的とした議論の整理・分析に引き続き従事する。とくに、1997年改正後に設けられたドイツの新たな法的父子関係の成否に関する制度を中心に検討を進め、構成原理の変容について考察を行うことを予定している。
後半期は、前半期の成果をふまえて、すでにこれまでの研究により明らかになった日本法の分析・検討結果をドイツ法等の比較法的検討から得られた示唆と接合させ、最終年度としての成果のとりまとめを行う。具体的には、日本の法的親子関係に関する構成原理と衡量基準を明らかにするとともに、日本の親子関係法が抱える課題に対して、解釈論・立法論の提示を試みる。

Causes of Carryover

昨夏にドイツでの資料収集・インタビューを実施することを予定していたが、怪我のため海外渡航が不可能となった。そのため、当初予定していた海外渡航費分として使用する費用の一部が未使用となった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

ドイツでの資料収集・インタビューを実施するための旅費として使用するか、またはそれに相当するドイツ家族法等の外国法に関する書籍の購入費に充てる予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2015 2014

All Journal Article (5 results)

  • [Journal Article] 推定の及ばない嫡出子の範囲2015

    • Author(s)
      木村敦子
    • Journal Title

      別冊ジュリスト民法判例百選Ⅲ親族・相続

      Volume: 225 Pages: 56-57

  • [Journal Article] 虚偽の嫡出子出生届等と認知の効力2015

    • Author(s)
      木村敦子
    • Journal Title

      別冊ジュリスト民法判例百選Ⅲ親族・相続

      Volume: 225 Pages: 60-61

  • [Journal Article] 生物学上の父子関係の不存在が科学的証拠により明らかであるときの民法722条の推定(最判平成26・7・1)2015

    • Author(s)
      木村敦子
    • Journal Title

      法学教室別冊付録判例セレクト2014[Ⅰ]

      Volume: 413 Pages: 20

  • [Journal Article] 法律上の親子関係の構成原理(六)――ドイツにおける親子関係法の展開を手がかりとして――2015

    • Author(s)
      木村敦子
    • Journal Title

      法学論叢

      Volume: 176巻4号 Pages: 1-20

  • [Journal Article] 法律上の父子関係とDNA鑑定に関する一考察――子の福祉の観点から2014

    • Author(s)
      木村敦子
    • Journal Title

      法律のひろば

      Volume: 67巻12号 Pages: 62-68

URL: 

Published: 2016-06-01  

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