2013 Fiscal Year Research-status Report
銀行規制における利害関係者の法的責任に関する研究―銀行破綻と監督当局の責任―
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24730083
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
前原 信夫 香川大学, 法学部, 准教授 (30380140)
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Keywords | 民事法 / 金融法 |
Research Abstract |
本研究計画の2年目にあたる平成25年度においては、アメリカやイギリス、ドイツ等の諸外国と同様にわが国においても預金保険法の改正に伴い新たな破綻処理制度が設けられた点に鑑み、前年度に引き続いて、アメリカにおける銀行規制・監督に関する外国文献(書籍・Law Review等に掲載の論文)の収集に努めた。特にアメリカやイギリスでは、2007年の金融危機の反省として、監督当局が規制対象の利害を代弁する、いわゆる規制の取込み(regulatory capture)が1つの問題であることが指摘されている。そこで平成25年度の研究においては、この点を踏まえ、透明性を欠く裁量が働きやすいことやモラルハザードの問題が生じる可能性があるという点で批判の対象となっている2008年ドッドフランク・ウォールストリート消費者改革保護法に基づくFDIC主導の破綻処理制度に焦点を当て、資料・文献の収集に多くの時間を割いてきた。 本研究計画におけるイギリス法およびドイツ法に関する資料・文献については、本研究代表者と同じ視点からこの問題にアプローチしている国内研究者の最新の研究論文等を収集することができ、議論の動向を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
銀行破綻における監督当局の責任についてわが国法制のあり方を検討する本研究においては、金融機関の破綻処理および預金保険制度との関係から、平成25年の預金保険法改正についても具にこれを検討する必要があると考えたからである。 なお、規制・監督制度もまた本研究の検討対象になりうるものである。そのため、アメリカの規制・監督制度に関する文献・資料の収集を行うとともに、研究代表者が所属する研究会(神戸大学商事法研究会)において、アメリカの監督制度および規制権限に関する研究報告(「銀行法における業務検査権の範囲と国法銀行に対する規制権限の帰趨」平成25年5月10日 於 神戸大学六甲台キャンパス)を行い、当該研究報告を通じて本研究計画において検討すべき課題等を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は本研究計画の完成年度に当たるため、具体的な構想を練りながら研究論文の執筆作業に取り掛かる。そのため、本年度においても引き続き資料・文献の読込みを行うとともに、これまでの研究過程で収集できなかった邦語文献および外国文献のほか、進捗状況に合わせて適宜各種の資料・文献の収集に努める。 先述のとおり、本年度においても引き続きアメリカ法を中心に諸外国の法制に関する資料・文献の収集を行うとともに、研究論文の執筆作業に取り掛かるため、別紙(収支状況報告書)のとおり、邦語文献および外国文献の収集に努めた平成25年度に近い額の物品費(銀行法・金融法関係図書、コピー用紙・インク等の事務用品)および資料収集のための旅費((社)東京銀行協会/全国銀行協会附属の銀行図書館)の使用を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究計画において入手する予定であった外国文献が、平成25年度中に刊行されなかったため、やむを得ず購入を見送ったことによる。 本年度中に刊行されるか否かの確認をした上で、再度当該外国文献の入手を試みる予定である。なお、当該外国文献を入手することができなかった場合には、本研究計画において必要と思われる文献・資料等を入手する予定である。
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