2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730087
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青木 仁美 早稲田大学, 法学学術院, 助手 (80612291)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際情報交換 / スイス / オーストリア |
Research Abstract |
研究の具体的内容 これまでの日本法におけるスイス法の先行文献を分析し、旧スイス後見法の把握に努めた。これを前提知識として、2013年1月1日施行の改正法に関するドイツ語の文献を、日本において手に入れられる範囲で複数講読した。2013年1月に、現地調査を実施し、スイスベルン大学のStephan Wolf教授およびオーストリア・インスブルック大学Michael Ganner教授、ベルン成年者保護官庁責任者であるPatrick Fassbind氏と面会し、今後の研究について指導を得ることができた。とりわけ、Wolf教授からはスイスの新法に関する重要文献を指摘してもらうとともに、旧法であるスイス後見法、新法である成年者保護法に関する関係資料を多数持ち帰った。 研究の意義・重要性 申請者が本研究で目指すのは、成年後見制度における自動的行為能力剥奪からの脱却である。この点、新法のスイス成年後見法では、その新類型において、法定代理人に取消権を付与せずに、代理権のみを与えるという類型が創設された。この類型は、行為能力の自動的剥奪からの突破口となる内容を有している。そこで、スイス法に文献を多数持ち帰るとともに、専門家であるWolf教授およびFassbind氏と知遇を得たことは、今後の研究に大いなる異議を有すると考える。さらに、いまだに行為能力の自動的制限を有するオーストリアでも、インスブルックの調査において、その改正が提唱されていることが明らかとなるなど、申請者の研究の方構成が有効であることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は、スイス後見法の歴史から研究をスタートさせた。これに関する先行文献は、日本語およびドイツ語のものが複数入手できたため、これにより旧制度を把握することができた。さらに、今年度の主たる目的のひとつであった、現地調査による文献入手および専門家とのコンタクトであるが、これについても、2013年1月に実施することができた。この調査により、2013年1月施行のスイスの新法に関する文献が入手できたとともに、専門家であるWolf教授およびFassbind氏と面識を得た。さらにWolf研究室においては、ドイツ語で日本の成年後見法に関する発表も行い、国際的な学問的交流を図ることができたと共に、Wolf研究室の助手とも知り合いとなり、今後の文献入手について援助してもらうことを委託した。オーストリアでも、現在の法状況を把握し、改正を提唱するための調査を行うことだできた。ここから、申請者の研究は、おおむね順調に進展していると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の現地調査において入手した文献を分析し、旧後見法および新法の成年者保護法の把握を続行する。 これを基盤にして、論文の執筆を開始するとともに、研究会でも積極的に発表を行う。 スイスおよびオーストリアの専門家とコンタクトを取り続け、文献では明らかにならない制度運用実態に関して質問する。 日本の成年後見センターに聞き取り調査を行い、成年後見制度における取消権の必要性を調査する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
|