2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730088
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
伊藤 栄寿 上智大学, 法学部, 准教授 (30454317)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 共有法 / 区分所有 / 団体法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来、「紛争の母」といわれてきた共同所有制度が、景観・環境等を保全できる制度となり得ることを明らかにすることを目的とした。平成26年度は、3カ年計画の最終年度にあたり、共同所有理論を再構成するための比較法的研究と、共同所有制度の現代的意義を明らかにすることによって、研究全体のまとめを行った。 第1に、区分所有制度について、紛争を防止し、景観・環境等を保全できる法制の構築を目指した。景観・環境等の保全、その前提となるマンション管理を円滑化するためには、コミュニティ形成を促すことが必要となる。しかし、国土交通省が定める標準管理規約のコミュニティ条項は、このために機能していないどころか、紛争を誘発する手段となり得ることが明らかになった。 第2に、沖縄久高島においては、歴史・島民の意識が、島全体の景観・環境等を保全していること、それを継続させるための手段して、共同所有制度が選ばれていることを確認した。 第3に、ドイツ法との比較を通じて、団体法制と共有法制には連続性があること、構成員に団体・共有財産の管理義務を負わせることが重要であることが明らかになった。構成員に財産管理義務を負わせることにより、景観・環境等を含めた財産状態が維持できるといえる。 第4に、共同所有という法形式をとれば、必ず景観・環境等が保全できるわけではない。景観・環境等を保全する意思・目的を持っている場合に、これを持続させるための手段として、共同所有制度が利用可能であることが明らかになった。
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