2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730089
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
倉部 真由美 法政大学, 法学部, 教授 (20367965)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 再建型倒産手続と担保権 / 担保権実行中止命令 / 担保権消滅制度 / 別除権協定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、仮に再建型倒産手続を一本化した場合に、あるべき担保権の処遇というグランドデザインの構築を目的としている。その背景には、a)近時の民事再生手続と会社更生手続の近接とb)民事再生手続と会社更生手続における担保権の取扱いの諸問題がある。後者は具体的に、b-1)会社更生手続における担保権の保護の不十分さ、b-2)民事再生手続における別除権構成の問題点およびb-3)担保権消滅許可制度における目的物の価額の評価基準見直しの必要性が挙げられる。また、評価、実行中止、担保権消滅許可の各局面において一貫して保護されるべき担保権の価値とこれが害された場合の保護・保証のあり方という各論を提示する。仮に一本化が適切ではなく現行の二つの手続の併存が望ましいという帰結に至った場合でも、担保権の取扱いの見直しが必要な点を明らかにし、解釈論ないし立法論を展開する。 最終年度にあたる平成27年度は、b-2)民事再生手続における別除権構成の問題点を中心に研究を進め、とくに、別除権協定の再生手続における効果を中心に検討した。すなわち、別除権協定において被担保債権額の減額の合意と再生手続廃止決定を当該協定の解除条件とする旨の合意がなされていた場合に、解除条件の成就により協定が失効すると被担保債権額減額の合意の効果も消滅し、もとの債権額に戻るのか、それとも効果は維持されるのかという問題を検討した。 昨年度に行った更生担保権型を採用しているアメリカ連邦倒産法と別除権型を採用しているドイツ倒産法の比較・検討の成果とあわせて、いまだ公表にはいたっていないが、いずれも近々公表するべく準備を進めている。
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