2012 Fiscal Year Research-status Report
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24730090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
清水 円香 立命館大学, 法学部, 准教授 (50452800)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 会社法 / 親子会社 |
Research Abstract |
1研究の内容 平成24年度は、親会社の責任について、基礎的文献をもとに調査を進めるほか、これと関連する制度として、(1)子会社債権者保護のための制度、(2)グループ経営に係る親会社の権利について調査・検討をした。(1)について、子会社債権者には、子会社従業員も含まれるが、フランス法では、子会社従業員の保護については、労働者保護の観点から、他の債権者とは区別して議論される傾向にあるようであり、フランスの図書館において、特に子会社従業員の保護に関する議論を調査するための資料を収集し、それらの資料をもとに調査を進めた。(2)について、フランス法は、会社の資本または議決権の95パーセント以上を有する多数派株主に、少数株主の保有する株式の引渡しを求め、少数株主を強制的に会社から締め出す権利を認めている。この制度は、1990年代に導入されたもので、比較的新しいため、これに関する文献は、日本にも多数あり、所属機関の図書館に所蔵されている資料を用いるほか、日本の他大学の図書館やフランスの図書館から資料を取り寄せて調査を行った。 2 意義・重要性 (1)の調査・検討は、フランス法のグループ経営に係る規整の基礎にある思想を理解する上で重要である。(2)は、フランスにおける親会社の子会社・子会社利害関係者に対する責任に関する議論を理解するに当たり、親会社がグループ経営を進める手段としてどのような制度が用意されているのかを理解しておく必要があり、その一環として、少数株主締出し制度の調査を行ったものである。近時展開されてきた日本における会社法改正の議論において、この制度に類似した制度の整備が検討されており、このことからも、(2)の調査は有益である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度前半は、フランスの親子会社関係に係る規整を体系的に理解するために行った関連制度の調査に重点を置いてしまい、研究の中心に据えている親会社の責任についての議論の調査を当初の計画どおりに進展させることができなかった。しかし、平成24年9月に、現地に出向いて調査を行ったところ、有益な情報を獲得し、研究を大幅に進めることができ、これによって、当初計画したペースに戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で示した(2)の支配株主による少数株主の締出しの権利についての研究は、前述のように、日本においても同様の制度を導入する議論が展開されていることから、その成果を平成25年度に論文の形で公表することを考えている。親会社の責任に関する議論の研究は、平成25年度には公表をせず、引き続き、関連制度の研究にも取り組みながら、平成27年度まで丹念に準備を進めることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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