2013 Fiscal Year Research-status Report
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24730090
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
清水 円香 立命館大学, 法学部, 准教授 (50452800)
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Keywords | 会社法 / 親子会社 |
Research Abstract |
1 研究の内容 平成25年度は、フランス法における親会社の責任に関する議論につき、平成24年度に行った現地調査で入手した文献や情報をもとに研究を続けるほか、これと関連する制度として、平成24年度後半から調査を続けているフランス法における少数株主の締出し制度についての研究を進め、その研究成果を論文で公表した。そこでは、前記制度導入に際してフランス法が参考にしたといわれるイギリス法等の制度と比較することで、フランス法の特徴を明らかにすることができた。 2 意義・重要性 フランスの少数株主締出し制度の研究は、第一に、フランスにおける親会社の子会社に対する責任に関する議論を理解するにあたり、親会社がグループ経営を進める手段としてどのような制度が用意されているのかを理解することが必要となることから、本研究課題の遂行に際して重要となる。第二に、現行の日本法においても、全部取得条項付種類株式や現金等を対価とする組織再編を用いて少数株主の締出しを行うことが可能であるが、近時展開されてきた会社法改正の議論においては、少数株主の締出しそのものを目的とする制度(特別支配株主の株式等売渡請求)の導入が予定されているところ、諸外国の立法例を調査し、その調査結果を提供することには重要な意義があると考えられる。本研究は、とくに先行研究の乏しいフランスの少数株主締出し制度を調査し、それがイギリスやドイツの制度とは異なる特徴を有することを明らかにしたものであり、その意義は大きいものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の「研究実施状況報告書」において、支配株主の株式等売渡請求制度の導入を予定する日本法の改正の動きに鑑み、フランスの少数株主締出し制度の研究の成果を平成25年度中に公表する計画を立てている旨を述べたが、予定通りに研究を進め、平成25年度にその成果を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、グループを構成する会社の取締役の義務・責任、および、親会社の子会社に対する責任につき、ドイツ法とフランス法を比較する研究を行うことを予定している。 EUは、2012年12月に公表したアクション・プランの中で、グループ全体の利益を追求するグループ経営の実務に配慮した会社法制の構築を、加盟国に要求することとしたが、このような考え方は、1998年にヨーロッパコンツェルン法フォーラムで加盟国による導入が提唱された、フランスのRozenblum原則の考え方に起源を有する。平成26年度の研究では、グループ経営の効率性よりも、子会社少数株主の保護を重視して法制を組み立ててきたドイツ法が、EUレベルで要請されることとなったグループ全体の利益に配慮する考え方をどのように組み込もうとしているのか、学説はどのように反応しているのかを、調査・検討する。この研究は、本研究課題の最終目的であるフランス法における親会社の責任に関する研究につき、分析の土台を与えることになる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度内に購入した図書の支払が、4月以降となったため、結果的に平成25年度は未使用額が生じた。 平成25年度の未使用額も、平成26年度の研究費も、主に、図書を中心とする物品の購入等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)