2016 Fiscal Year Research-status Report
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24730090
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
清水 円香 立命館大学, 法学部, 准教授 (50452800)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 会社法 / 親子会社 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、1.前年度から引き続き、フランス法における事実上の取締役の責任の制度・判例法理の調査を行うとともに、2.このような制度・法理が、親子会社関係を念頭に置いた他の制度とともに果たす機能の分析を行った。3.前記2.の一環として、とくに、グループ経営の実務に配慮した会社法制の構築を加盟国に要求するEUのアクションプランに、フランス法・ドイツ法がどのように対応しようとしているか調査・検討を行った。その結果、フランス法ではそれほど大きな議論はみられず、ドイツ法では、法がグループ経営の実務に配慮することにより、グループ構成会社の利害関係者の利益が害されやすくなる可能性も考えられ、それらの者の保護をどのように図るべきかといった議論、および、グループ全体の利益を考慮した取締役の行為・決定の結果、グループ構成会社に損失が発生した場合、その対会社責任の判断に際して、当該取締役がグループ全体の利益を考慮したことを、いかなる理論構成で考慮に入れるべきかといった議論がなされていることが明らかとなった。さらに、グループ経営の実務に配慮した会社法制の構築を要求するアクションプランの内容を国内法に取り込むことについては、英国のEU離脱問題の発生に伴い、頓挫した状態にあることも明らかとなった。 前記1.については、日本においても類似した議論があるところ、フランス法に関する先行研究はほとんどなく、フランスの事実上の取締役に関する議論を、2.の親子会社法制全体を踏まえたうえで、初めて明らかにしようとする点で意義を有する。3.は、EU加盟国の法制度を理解するためには、国内の議論のみならず、EUレベルでの議論を検討することが不可欠であり、この点で重要性を有する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究環境が研究助成申請当初から変化した(具体的には、育児の必要が生じた)ことにより、研究助成申請当初の計画と比較すると、研究にやや遅れが生じている。ただし、おおむね「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う科学研究費助成事業補助時報機関延長承認申請書」に記載した研究再開後の研究実施計画どおりに研究を進めることはできている。
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Strategy for Future Research Activity |
「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う科学研究費助成事業補助時報機関延長承認申請書」において、研究課題へのアプローチの仕方を、育児をしながらでも取り組み可能なものに修正した。今後も、同書に記載した研究再開後の研究実施計画どおりに研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
会計処理の関係で残高が1,220円となっているが、既に書籍"The Deconstruction of Equity"(11,145円)および"Related-Party Transactions im deutschen und US-amerikanischen Recht der Aktiengesellschaft"(14,659円)を購入済みである。 これらに関しては2017年度の予算で執行手続き予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり、残高1,220円に関しては書籍を購入済みである。
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