2012 Fiscal Year Research-status Report
役務提供契約の一般法理とその現代的機能に関する研究
Project/Area Number |
24730092
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
寺川 永 関西大学, 法学部, 准教授 (50360045)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 役務提供契約 / 民法 / 消費者法 / 複合契約 |
Research Abstract |
本研究が目的とする役務提供契約一般に適用される法理(一般法理)の現代的機能を明らかにするために、初年度となる平成24年度では、主として役務提供契約に関する法状況について整理することに努めた。 この点について、とりわけ日本および比較法の対象国であるドイツおよびヨーロッパ私法の動向を押さえることで、現段階において検討されるべき点は何かを抽出することにした。具体的には一般法理で問題となる点について、役務提供契約における当事者の権利義務、中途解約権など論点は多岐にわたるが、この点について素描したものとして、松本恒雄先生還暦記念『民事法の現代的課題』に「役務提供契約の一般法理に関する覚書」がある(業績図書②)。 また、役務提供契約に限定されるものではなく売買契約にも関連するものではあるが、一般法理の検討対象の一つとして研究計画に挙げていた契約結合(複合契約)について、法学セミナーの連載企画の分担執筆として「消費者紛争の個別類型と消費者法⑥複合契約と消費者」を公表した(業績雑誌論文①)。 このほかにも、消費者の権利に関するEU指令の翻訳(業績雑誌論文②。ただし共訳)がある。また、わが国の民法典における典型契約類型の注釈(業績図書①)など、精力的に研究活動を行ってきた。 現在、ドイツのマックス・プランク外国私法及び国際私法研究所の客員研究員として在外研究を行っている(平成25年度前半まで)が、資料収集はもとより、その他海外の研究者と積極的にコンタクトを取ることで、最新の情報の獲得に努めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも示したように、「役務提供契約の一般法理に関する覚書」および「消費者紛争の個別類型と消費者法⑥複合契約と消費者」など、順次研究成果を公表しており、順調に推移している。 具体的には、前者の論文において、役務提供契約の現在の法状況をまとめ、後者の論文においては現在の複合契約が抱える問題点について明らかにしたものである。これらの成果をもとに平成25年度における研究を充実させることが可能となる。 平成24年度後半から開始した在外研究においても、研究目的を遂行するために有意義に時間を費やすことができた。特に滞在先において現地研究者との交流を通じて、常に最新の情報を入手できることが非常に大きい。また、シンポジウムなどを通じて、研究対象であるドイツおよびEUの動向を知ることができて、知見を大いに深める機会を得ている。 以上のことから、平成24年度の達成度については、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度前半は在外研究中のため、主として本研究に関連する書籍の購入に充てる予定である。したがって、次年度に使用する予定の研究費についても、同様に書籍購入に充てることにする。特に、本研究目的である役務提供契約および複合契約に関連する書籍を中心に購入し、研究目的の達成に有用な資料の収集に努めることにする。 また引き続き滞在先での海外研究者とのコンタクトを積極的にとって最新の情報収集に努めることにする。 また、在外研究終了後はPC関連機器および消耗品等の購入に充てる予定である。 このほかにも、国内外の出張を予定しており、各出張先での資料収集、研究者との面談による最新の情報収集に努めることを予定している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度の繰越分が発生することになったのは、在外研究先で書籍をクレジットカードで購入したものの、実際の引き落としがかなり後になって行われたためである。また、その領収書等を滞在先から郵送で送ったところ、不着の可能性があったようで、当該書類を日本時間の執行期日までに揃えることができなかった。 今年度は繰越分も含めて、研究計画に支障が出ることがないよう適性な使用に努めたい。
|