2014 Fiscal Year Research-status Report
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24730101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加毛 明 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (70361459)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 法学教育 / リーガル・リアリズム / 比較法 / 民法 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、平成24・25年度の調査に基づいて、アメリカ共和政初期の法学教育に関する研究成果を論文にまとめた。同論文は東京大学ローレビュー第10巻への掲載を予定している。 第二に、イェール・ロー・スクール(YLS)の成立をとりまく状況について引き続き調査を行った。①19世紀後半のウルジーの改革はコロンビア・ロー・スクール(CLS)との競争によって促進された。CLSはテオドール・ドワイトの指導のもとで、金融・運輸の中心地であるニューヨーク・シティの立地条件を活かしつつ、数多くの学生を集めた。大学附属機関であるCLSの成功がウルジーの改革の範型となったのである。②他方でCLSが多数の学生からの授業料で財政基盤を確立できたのに対して、YLSは寄付金に依存せざるを得なかった。1870年代以降、YLSは図書館整備や教員採用のための寄付金獲得に注力した。その結果、先立つ時代の個人経営ロー・スクールと異なり、YLSは強固な財政基盤を確立することになった。③YLSはファカルティ拡大のため、イェール・カレッジの教員を多数採用した。このことは学際性の重視とともに、学生数に対する教員数の比率が高いというYLSの特徴を形成することになった。 第三に、YLSの教育理念・方法の変遷について20世紀前半の状況を検討した。法を抽象的なルールの総体として抽出できるという考え方(ラングデルなど)は20世紀初頭まで支配的地位を占めた。しかし20世紀初頭になると、法的ルールの性質・司法手続のダイナミズムの理解に他の学問分野の成果が不可欠であるという考え方(リーガル・リアリズム)が隆盛した。リアリズム運動はCLSに始まるが、1930年代には、ウィリアム・ダグラス、ジェローム・フランクなどを擁するYLSに、その拠点を移すことになった。YLSは、ラングデルの理念に基づくハーヴァード・ロー・スクールとの対抗関係の中で、自らをリアリスト運動の中核として位置づけることになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度実績報告書に記載した通り、本年度はYLSの法学教育の理念・方法に関する調査に注力し、文献調査の面ではほぼ予定通りの成果を得ることができた。しかしながら、予定していた法学教育の専門家との都合がつかなかったこと、アメリカ共和政初期の法学教育に関する研究成果の取りまとめに時間を要したことから、専門家へのインタヴュー・YLS図書館の実地調査を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は最終年度であるため、残された課題の遂行とこれまでの研究成果の公表に注力する。前者については、YLSにおける具体的な教育方法の変遷について検討し、YLSの法学図書館での実地調査及び専門家インタヴューを行うとともに、これまで付随的な調査対象としてきたCLSなど他のロー・スクールの状況についても検討を深化させる。後者については、平成25年度及び平成26年度の研究成果であるYLSの確立の背景事情及び特徴について論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
専門家インタヴュー・現地調査ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
専門家インタヴュー・現地調査に加え、関連文献の購入のための費用に充てる。
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