2014 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル・デモクラシー理論の〈熟議的転回〉の研究
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24730121
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
高橋 良輔 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (70457456)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グローバル・デモクラシー / 熟議民主主義 / 熟議的転回 / 公共圏 / ステークホルダー・デモクラシー / ステークホルダー共同体 / NGO / アドボカシー |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、より実行可能性の高いグローバルな熟議デモクラシーの規範理論の再構築を行い、熟議デモクラシー理論の拡張可能性とその限界の明確化に取り組んでいる。 まず年度前半には、高橋良輔・大庭弘継編『国際政治のモラル・アポリア――戦争/平和と揺らぐ倫理』ナカニシヤ出版(2014年6月)を公刊した。研究代表者は、南山大学社会倫理研究所の協力のもと、同書の企画立案ならびに編著者を務め、序章「国際政治と倫理の揺らぎ」(3-18頁)ならびに第7章「国家主権――自由と安全の動的平衡」(247-288頁)を執筆、国家主権における対内的絶対性・最高決定権・対外的絶対性といった重要な属性がそれ自体は不確定性のもとにあることを明らかにした。 また押村高編著『政治概念の歴史的展開 第7巻』晃洋書房(2015年3月)でも「国際秩序」(87-106頁)を執筆し、グローバルな熟議デモクラシーの背景となる国際秩序が歴史的な可変性をもつことを明らかにしている。 このように、グローバル・デモクラシーの熟議的転回の条件を確認したうえで、年度後半には国際協力NGOのアドボカシー活動を理論化している。山崎望・山本圭編『ポスト代表制の政治学』ナカニシヤ出版(2015年3月)では、第2章「国境を越える代表は可能か?」(57-90頁)を執筆し、国境を越えたアドボカシー活動がステークホルダー共同体に立脚したグローバル・デモクラシーとして正統性をもつことを詳らかにしている。 なお西谷真規子編『グローバル規範の競合と複合化(仮)』ミネルヴァ書房(2015年刊行予定)にも「規範媒介者としてのNGO―-ODA政策をめぐる国内政治過程」を掲載予定であり(原稿提出済み)、政治的な実効性の観点からトランスナショナルな熟議デモクラシーの可能性と課題を明らかにし、政治理論/国際関係論の拡張に寄与している。
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