2012 Fiscal Year Research-status Report
ハブ空港建設のポリティクス -バンコク・スワンナプーム空港建設過程の政治分析
Project/Area Number |
24730134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
相沢 伸広 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (10432080)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 比較政治 / ハブ空港 / 空港建設 / 東南アジア / 地域統合 / タイ / インドネシア / 地域研究 |
Research Abstract |
一年目の平成24年度は、第一にスワンナプーム空港建設にかかるアクターの詳細なデータベース作りとその分析を行った。データベースは以下の関係機関の資料に基づく計画である。1.空港公団(AOT)、2.新バンコク空港建設公団(NBIA)、3.タイ国際航空(THAI)、4.タイ観光局(TAT)、5.運輸省航空局、6.空軍、7.ITAコンソーシアム。とりわけ、AOTに関する資料、データはAOT資料室の助力、AOT総裁代行、TAT元総裁、ITAコンソーシアム関係者の大きな協力もあり、前年の洪水の被害状況、対策関連資料を加え、大変に充実した。これらの収集したデータをもとに上記各組織の各メンバーに関する総合的なプロフィールデータを作成した。第二に、スワンナプーム空港建設にかかるポリティクスを比較分析するために、インドネシアでの調査を行った。インドネシアはタイとは極めて対照的な航空・空港政策をとっている。その政治的背景についてバンドン工科大学、インドネシア外務省、運輸省にて資料収集を行った。第三に上データベースと聞き取り調査結果に基づいて、関係アクターの詳細な見取り図を描き、それぞれの対立/協力関係、および、ネットワーク形成のあり方を分析している。第四に、本年度の分析成果は、第一に、「バンコク二空港と2011年大洪水」船津鶴代・玉田芳史編『2011年大洪水とタイ』所収(2013年8月出版予定)として発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目の課題は、30年以上進まなかったスワンナプーム国際空港の建設が、なぜ、非軍人のタクシン政権時に、(空軍との調整を含め)進んだのという点を明らかにすることである。この問いを政策だけでなく人事のレベルで主要関係機関メンバーのプロフィールから全てのステークホルダーを明示し、タクシン政権下の空港建設手法を、以前の政権の行政手法と比較することを計画していた。したがって、必要となったのはスワンナプーム空港建設にかかるアクターの詳細なデータベース作りであった。データベースに必要な関係機関の資料について、タイ空港公団(AOT)をはじめとする各組織より、その幹部/取締役会の名簿、アニュアルレポート等の提供、そしてインタビューを通じた、事実確認の機会の提供を受けた。したがって、関係者のプロフィールのデータベース等のデータベース作りが順調に進んだ。このデータベースを基にして、比較分析のためのインドネシアにおける調査を通じて、分析を強化することができ、当初の研究計画どおり、おおむね順調に進展しているといえる。またここまでの調査・分析結果を、編著本の一章として刊行することができたため、成果公開の観点からも順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
一年目に作成したデータベースを基礎資料として、海外調査を通じてスワンナプーム空港建設にかかる、制度・政策変更をめぐるダイナミズムの分析を行う。重点的に研究する事象は以下の4点である。① 2002年の空港公団(AOT)の株式公開。② 空港公団からの分離特別組織、「新バンコク空港建設公団(NBIA)」の設立過程と運営。③ タクシン首相直属の省庁横断組織、「スワンナプーム空港建設特別委員会」の運営、④ 幻の「ナコン」スワンナプーム(スワンナプーム「県」)新設。 この4点についての調査結果を、第一にタイ政治の文脈で分析し、第二に、インドネシア、シンガポール、マレーシアとの比較分析を行う。そのため、まずインドネシア、マレーシアでの調査を行い、分析を強化する為の資料、情報収集を行う。 以上得られた結果は、段階的に投稿論文等を通じて発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は現地調査の中心となる年であり、二度の海外調査に主に研究費を使用する。具体的な使用計画の内訳は以下のとおりである。 ・タイ調査 内訳(航空券100千円+滞在費500千円) ・インドネシア・マレーシア調査(航空券100千円+滞在費300千円) ・資料整理(内訳:1人×6月・36千円/月=216千円) ・英文校閲費(200千円)
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Research Products
(1 results)