2013 Fiscal Year Research-status Report
国際紛争における停戦後の平和構築と戦後復興の分析:理論と仮説検証
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24730135
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小浜 祥子 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 准教授 (90595670)
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Keywords | 国際紛争 / 停戦 / 領土変更 / 国際情報交流 / アメリカ |
Research Abstract |
1.平成25年度は、引き続き関連分野での先行研究を収集し、本研究を英語の本として出版する際の序章を執筆した。これについて、Jeffrey Legro教授(ヴァージニア大学)や久保文明教授(ウィルソンセンター)などから有益なコメントを頂いた他、国内での各研究会でも助言やヒントを得た。 2.暫定的研究結果をKobe Sakura Meeting(神戸大学、5月)やPSS-ISA Conference(ブダペスト、6月)にて英語で発表した。ここで得たフィードバックを生かしつつ、理論部分を本の第一章として完成させた。数理モデルについてはTodd Sechser准教授(ヴァージニア大学)及びKazuto Ohtsuki講師(カーネギーメロン大学)から重要な助言をいただいた。特にKazuto Ohtsuki講師とは本研究の一貫として、理論的知見をさらに発展させた論文を共同で執筆中である。 3.データセットをさらに充実させ統計分析を行った。データセットの構築にあたっては短期支援員を雇用し効率的に作業を行った。統計分析では重要な先行研究と比べても本研究の理論が妥当であることをある程度実証することができた。 4.事例研究の資料収集を行った。まず、ブダペストのOpen Society Archiveでは紛争等による人民の強制移住に関する史料を網羅的に収集した。ピッツバーグ大学Archive for European Integrationでは特に第二次世界大戦後の石炭鉄鋼共同体の設立についての史料を収集することができた。また、ブダペストの中央ヨーロッパ大学では戦後の資源利用に関する国際条約の資料を一部入手できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画において、平成25年度は統計分析と事例研究に係る資料集を主に行い、これらの実証分析の結果を理論部分へとフィードバックさせていく予定であった。 まず、本年度は短期支援員を雇用してデータセットをさらに充実させ、統計分析において一定の成果を出すことができた。その結果について海外の学会等で発表した他、様々な研究者との意見交換を行うこともできた。そして、それらを反映させる形で序章や理論部分を加筆・修正することができた。この新しい執筆部分についてもアメリカの研究者等から良好な評価を得た。 事例研究については、当初はアラブ・イスラエル紛争の研究を中心に行う予定であったが、様々な研究者との意見交換の結果、出版を見据えて、いくつかの重要な事例について言及するべきとの結論に達した。そのため、ブダペストのOpen Society Archiveや中央ヨーロッパ大学、ピッツバーグ大学のArchive for European Integrationなどで興味深い事例について資料収集を行った。 統計分析についてはさらに発展させる余地があり、事例研究についてはこれからまとめあげる作業が残っているので、これについては平成26年度に重点的に取り組んでいく予定である。 以上の通り、本研究に係る作業は概ね当初の予定通りに進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成26年度も引き続き紛争や停戦・対外援助に関連する図書を購入し、研究に生かしていく。また事例研究に関連する書籍も引き続き収集する。 2.当初の計画通り論文の執筆を重点的に進める。序章と理論部分については平成25年度中に概ね完成させることができたので、平成26年度は統計部分と事例研究の部分を公刊可能な論文として仕上げていく。 3.研究の成果を国内・国際学会での成果発表を行い、そのフィードバックを生かして本研究を世界的な水準に引き上げるべく努める。Kazuto Ohtsuki氏(カーネギーメロン大学)との共著論文についてはすでに2つの国際学会での発表が決まっている。 4.研究成果をアメリカで出版するための投稿・応募作業を積極的に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年3月に出張及び短期支援員の雇用を行ったが、これらにかかる支出につき3月中に予算執行が間に合わなかったため、残りの額については、入手予定であった資料集や研究業績で出版時期が遅延しているものがあり購入できなかったため、また、入手を試みていた和平条約資料集が絶版となっており、良い中古本を見つけられず購入できなかったため、平成25年度研究費に余剰が生じた。 出張や短期支援員の雇用にかかる経費は、平成26年4月に直ちに予算を執行する。また、入手予定の資料集や研究書が公刊され次第、購入を行う。和平条約資料集については中古本を現在探しているので、見つかり次第、購入する。
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