2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730145
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡邉 智明 九州大学, グリーンアジア国際リーダー教育センター, 助教 (00404088)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 標準化 / 環境規格 / グローバル・ガヴァナンス / EU / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに調査した資料を見る限り、研究開始当初の着想と異なり、ドイツなどの主要工業国および産業界が環境規制に伴う国際経済上の優位の喪失を懸念して、EU(欧州連合)さらにグローバル・レベルの標準化を推進するような積極的な動きは見られなかった。研究計画の最終年度にあたる平成26年度は、調査資料の対象を拡大して、前年度までに得られた上記の実証研究上の知見を検討する作業を行った。具体的な作業としては、ドイツ・ベルリンのドイツ連邦議会図書館、およびベルギー・ブリュッセルのEC(欧州委員会)中央図書館における文献資料調査、関係者への聴き取りを進めた。一連の作業において、ドイツの電機産業界の動向に関する資料と、EUの標準化形成過程において行われた説明会のNGO資料などを入手することができた。 研究成果については、IPSA(世界政治学会、於カナダ)における報告に加え、経済学・法学などの研究者から成る、福岡環境学際フォーラムの第12回研究会(於西南学院大学)において「環境規格の標準化に関するEUのグローバル戦略」と題した報告を行い、参加者との討論を通じて有益な示唆を得ることができた。また、本研究の特に理論的部分に関わるものとして、グローバル・レベルにおける私的(プライヴェート)制度に関する近年の研究動向を踏まえて検討を行い、その成果の一部を、書評論文(英語)という形で公刊した(Evergreen, Vol. 2, No.1)。 最終年度の資料調査、成果発表から得た知見を踏まえて、本研究では、EU標準化策定過程に関して、加盟国・産業界などの利益や単なる統合路線の延長ではなく、「標準化」が新たな意味を持つ政策アイディアとしてアクターに認識され、彼らの利益を再構築していく過程であるとの結論を得るに至った。
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Research Products
(3 results)