2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730149
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
福田 円 法政大学, 法学部, 准教授 (10549497)
|
Keywords | 中国外交 / 台湾 / 冷戦史 / 国際政治史 / 中台関係 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中国と諸外国との関係において台湾問題をめぐる「一つの中国」コンセンサスが形成された過程を、外交史的な手法によって検証することである。特に、本研究期間においては、1960年代末から70年代にかけて、中国が西側諸国との外交関係を回復し、国際的な地位を向上させるなかで、いかに相手国から「一つの中国」への関与を獲得したのかを跡づけることに重点を置いている。 上記のうち、2013年度は特に、中国とカナダ、日本、西ドイツとの国交正常化交渉がどのように連関しており、そのなかで中国は台湾問題に関する交渉をどのように進めていったのかという点について、史料調査を行った。中国とカナダの交渉については、先行研究の整理を行い、2014年度に行うカナダ国立公文書館での調査に備えた。日本との交渉については、外務省外交史料館で公開されている史料や近年出版された回顧録・オーラルヒストリーなどの情報を整理した。 このような研究活動の成果は、できるだけ国際的な会議等で発表し、とりわけ海外の研究者と意見や情報の交換を頻繁に行うことに努めている。2013年6月には、マカオで開催された”The 8th International Convention of Asia Scholars”において冷戦期の中国外交に関するセッションを組んだ。また、9月には、北京の首都師範大学で中国や台湾から集った冷戦史研究者とワークショップを開催した。さらに2014年1月には台湾で開催された若手中華民国史研究者によるワークショップに司会として参加し、3月にはスタンフォード大学フーバー研究所の研究員を招いてワークショップを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来ならば、カナダや西ドイツでの史料調査は2014年度中に行いたかったが、2013年度は所属機関を異動した1年目にあたり、史料調査を行う段階まで自分の研究を進めることができなかった。ただし、その代わりにこれらの交渉に関する文献調査などを行うなかで、中国とカナダ、日本、西ドイツとの交渉に連関が見いだせるのではないかとの仮説を得るに至った。また、カナダや西ドイツでの史料調査を行えなかった分、2014年度に予定していた外務省外交史料館での調査を早めにはじめるなど、3年間の研究期間内の目標をできるだけ達成できるよう、工夫を行った。 また、中央・地方を問わず、中国での史料調査や聞き取りが困難な状況になっていることも、研究の進捗に若干の影響を与えている。この点に関しては、個人の努力では補えないので、周辺の史料を地道に読み込みながら、研究環境を変化を待ちたいと考えている。 さらに、外交史研究の進捗はやや遅れたが、「一つの中国」原則をめぐる現代の中国外交や日中台関係に関する研究や発表の機会が増えたことは、外交史研究における着眼点を再考する機会ともなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度は3年間の研究期間の最終年度となるため、この期間内での目標を一つでも多く達成できるよう、努力したい。具体的には、8月にカナダおよびアメリカでの史料調査、10月にドイツでの史料調査を予定している。これらの史料調査と並行して、研究成果を公刊する目処も立てたいと考えている。このうち、中国と西ドイツの交渉については、既に共著の一章として公刊する予定がある。中国とカナダとの交渉については、台湾で多くの優れた先行研究が公刊されているので、それらの先行研究と対話をさせるという意味でも、台湾の学術誌に投稿できればよいと考えている。これらに加え、2014年度も国際会議での研究報告と情報交換を積極的に行いたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
カナダやアメリカでの史料調査を行う時間を取れなかったため、その分の経費を次年度に繰り越した。 2014年夏にカナダやアメリカでの史料調査を必ず行う。それに加え、2014年度の予算でドイツでの史料調査および必要な文献の追加購入を行う予定である。
|