2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730149
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
福田 円 法政大学, 法学部, 准教授 (10549497)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中国外交 / 中台関係 / 冷戦 / 東アジア国際政治 / 台湾 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中国と関係諸国との間において台湾問題をめぐる「一つの中国」コンセンサスが形成された過程を、外交史的な手法によって検証することである。特に、本研究期間においては、1960年代末から70年代にかけて、中国が西側諸国との外交関係を回復し、国際的な地位を向上させるなかで、いかに相手国から「一つの中国」への関与を獲得しようとしたのかを跡付けることに重点を置いて、研究を進めてきた。 上記のうち、2014年度は前年度に続き、中国とカナダ、日本、西ドイツとの国交正常化交渉がどのように連関しており、そのなかで中国は台湾問題をめぐるその後の政策をどのように構想するようになったのかという点について、調査を行った。まず、前年度に行った文献調査を踏まえたうえで、カナダ国立公文書館における史料調査を行った。ここでは、当時の国交正常化交渉の記録は殆どが公開されているが、今もなお公開されていない部分について確認することができた。次に、西ドイツとの国交正常化交渉については、ドイツの外交文書館での調査には至らなかったが、当時の新華社西ドイツ特派員であり、後の駐西ドイツ大使となる王殊氏の様々な版の回想録や、ドイツ外務省の公刊公文書集に収録されている国交正常化交渉記録などを手掛かりに、調査をすすめた。さらに、上記の経過を中華民国政府がどのように捉えており、国際環境と中台関係の変容がどのように連関していたのかを探るために、台北での史料調査を行った。 本研究期間全体を通じて、1960年代末から1970年代初頭にかけて中国と台湾をめぐる国際環境が大きく変容するなかで、中国がいかに戦略的に各国から「一つの中国」をめぐるコンセンサスを獲得しようとし、それに伴い台湾に対する政策を変化させたのかを理解することができた。次の研究課題においては、この変化が1980年代の「平和統一」政策にどのように繋がるのかを論じたい。
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