2013 Fiscal Year Research-status Report
発展途上諸国における資源開発と紛争/政治的不安定性の経済的因果経路に関する研究
Project/Area Number |
24730150
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
吉田 敦 明治大学, 商学部, 助教 (20559835)
|
Keywords | 国際経済 / 資源開発 / アフリカ / 紛争 / 政治的不安定性 |
Research Abstract |
平成25年度においては、資源開発と紛争の経済的因果経路に関わる研究の類型化をおこなうとともに、仮説の理論的位置づけについて研究を進めることができた。また、研究を進めていく過程において、より包括的な課題として「開発」にかかわる理論的課題(脱開発、ポスト開発)の重要性を再認識したとともに、紛争が国境を越えて広域化するプロセス(脱領域化)についての課題を確認した。そこで本年度は、アフリカのサハラ砂漠北側地域(北アフリカ)及び、サハラ砂漠南側地域(サヘル地域)を一体的に捉えながら、イスラーム主義武装集団やトゥアレグ族等の非政府アクターに注目し、ウラン等の資源開発を基軸とした経済的利害の対立構造と紛争の関係性について分析を進めた。また、定期的に紛争に関する研究会を主催し、研究者との間での情報交換や意見交換も引き続きおこなっている。政情不安が続き、安全性が確保されないことから当初計画していたニジェール共和国の現地フィールド調査の実施は延期せざるをえなかったが、隣国モーリタニアとセネガルへの現地フィールド調査を実施(調査費用は他の研究費を援用)した。また、翻訳作業を通じてグローバル・ヒストリー学派の資本主義と暴力に関する歴史的知見を得ることができたため、今後の研究の展開に活かしていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究目的は、前年度の文献調査・研究で得られた知見に基づき資源と紛争の経済的因果経路に関わる研究の類型化と現地調査を行うことであった。政情不安が続き、安全性が確保されないことから当初計画していたニジェール共和国の現地フィールド調査の実施は延期せざるをえなかったが、近隣諸国への現地調査を実施することができたため、紛争の広域化(脱領域化)プロセスの視点から資源開発の問題に取り組むことができた。また歴史的な視点から紛争問題の捉えなおしも実施することができたため、新たな視点を加えながらおおむね順調に研究を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、研究の最終年度につき、これまでの研究成果と現地調査から得られた実証にもとづき理論的仮説の修正と精緻化を試みたい。研究成果は、資源開発と紛争に関する包括的な論文として公表する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた現地フィールド調査対象国のニジェール共和国での治安情勢が2012年末より急速に悪化し、2013年も引き続き不安定なことから、当該国の現地フィールド調査を延期したため。 現地フィールド調査対象国の治安情勢が今年度においても回復しない場合、近隣諸国へのフィールド調査を実施するか、計画使用額を物品費(資料)等に振り替えることで研究を進展させる予定である。
|