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2014 Fiscal Year Research-status Report

「ポスト・ネオリベラリズム」時代の金融秩序のあり方ー日米英の金融制度の比較研究

Research Project

Project/Area Number 24730156
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

安高 啓朗  立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (90611111)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2016-03-31
Keywordsグローバル金融秩序 / ポスト・ネオリベラリズム / 埋め込み / 政策レジーム
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、金融危機後あらためて高まった「ポスト・ネオリベラリズム」時代におけるグローバル金融秩序のあり方について、カール・ポランニーの「埋め込み」概念を一つの手がかりに、グローバル金融が社会に埋め込まれるうえでの制度の特性と多様性について明らかにすることを目的としている。平成26年度も引き続き、「埋め込み」概念をグローバル金融の分析枠組みとして再構築するとともに、金融秩序の「埋め込み」に関する理念型である「政策レジーム」の理論的枠組の発展・深化を目標として研究を行った。
このような目的のため、本年度は二つの側面について研究を進めた。第一に、市場社会の下で経済が社会に埋め込まれている多様なあり方を検討するにあたって、華夷秩序や朝貢貿易体制などを国際関係理論に包摂しようとする最近の試みを参照しながら、国際政治経済学における国家と市場という前提の批判的検討を行った。経済と社会を結ぶ多様な「制度的配置」についてさらに考察するためには、このように直接的な概念化だけでなく、Hobson(2013a, b)のように学知のレベルでの再検討も必要であろう。
第二に、「政策レジーム」の多様性が生まれてきた歴史的文脈について、引き続き制度としての(国際)市場が近代西洋から誕生して単線的に発展してきたとするヨーロッパ中心主義的な見方について批判的に検討した。このような国際関係論/国際政治経済学における国家中心的な歴史観(ウェストファリア史観)がわれわれの歴史に対する眼差しだけでなく、将来のありうる「制度的配置」の構想をも拘束すること、その意味と含意についても考察を行った。この成果の一部は研究会や学会の報告に結実した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究の進捗状況を踏まえた本年度の達成度については、本研究の目的である、1)「埋め込み」概念の批判的検討と、国際政治経済学におけるグローバル金融研究への位置づけを明らかにすること、ならびに、2)金融が社会に埋め込まれている「程度」を理論化し、「政策レジーム(policy regime)」という形で理念型を提示すること、については一定の前進ができたが、本格的な体系化には至っていない。
その理由としては、資本主義の多様性や埋め込みをめぐる議論が主として行われている経済社会学と国際政治経済学を接合していく試みが新領域に属するため、確立された方法論が存在せず、理論的な試行錯誤が繰り広げられていることが挙げられる。この点は、学問分野としての国際政治経済学自体が細分化・分裂化しており、精緻な経験的研究が多く登場する一方で、従来見られたような大きな理論化が見られなくなってきていることも影を落としていると言えよう。いずれにせよ、「埋め込み」や「政策レジーム」については引き続き検討していきたいと考えている。
なお、3)一次史料を活用した日米英の金融制度についての実証研究については本格的に着手できていないが、その理由については以前述べたとおり、理論研究の部分に注力するためである。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進については、二つの方策を念頭においている。第一に、「埋め込み」や「資本主義の多様性」をめぐる最新の研究をとりまとめたうえで、「政策レジーム」の類型化作業を完成させることである。また、そのために最近相次いで刊行されているネオリベラリズムの思想や制度についての関係図書についても一定の整理を行いたい。
第二に、理論研究に重心をおくにしても、実証部分についても一定程度道筋をつけたいと考えている。そのために、引き続き史料を、入手可能性を含めて検討を行う。

Causes of Carryover

必要な物品等を購入した結果として当該未使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

少額の未使用額を含む次年度の予算額は、研究の推進方策に従い、理論研究を進めていくための書籍など物品の購入、および実証部分を拡充する資料収集のための調査旅費として使用することを想定している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] ウェストファリア史観を脱構築する―言説・理論・歴史2014

    • Author(s)
      安高啓朗・芝崎厚士・山下範久
    • Organizer
      日本国際政治学会2014年度研究大会
    • Place of Presentation
      福岡国際会議場(福岡県福岡市)
    • Year and Date
      2014-11-14
  • [Presentation] ウェストファリア史観を脱構築する:試論的考察2014

    • Author(s)
      安高啓朗・芝崎厚士・山下範久
    • Organizer
      世界政治研究会
    • Place of Presentation
      東京大学(東京都文京区)
    • Year and Date
      2014-09-26

URL: 

Published: 2016-06-01  

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