2014 Fiscal Year Research-status Report
東南アジアにおける人身取引問題のガバナンスの構造と市民社会の役割に関する研究
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24730157
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
山根 健至 福岡女子大学, 文理学部, 講師 (10522188)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ガバナンス / 市民社会組織 / フィリピン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第1に、重層的なガバナンスにおけるグローバル-リージョナル-ナショナルの各レベルの諸制度・諸アクターの取り組み、相互関係、機能面の実態を明らかにし、政策評価、課題抽出を行うこと。第2に、ローカルなNGOや地域的・国際的なNGOの役割、連携の実態、上記ガバナンスとの関係を明らかにし、市民活動を重層的なガバナンスに有機的に位置付けるには何が求められるのかを検討することである。 当該年度は主に第2の点を検討するため、フィリピンの地方における調査を中心的に実施した。とりわけ、ローカルNGOへの取材を重点的に行い、政府関係機関等との相互関連に関する情報収集に力を入れた。この点に関しては、これまでに収集した資料・データとあわせ分析を進め、論文の執筆に着手しているため、研究の目的を概ね達成することができたと言える。 本研究では、東南アジアにおいて形成されつつある人身取引問題の重層的ガバナンスにおける、グローバル-リージョナル-ナショナルの各レベルの諸制度・諸アクターについて、とりわけ市民社会アクターに焦点を当て、それらの役割や位置付けの検討をするが、当該年度の研究の重要性は、かかる重層的ガバナンスにおける市民社会アクターの役割を検討したという点にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、主にフィリピンの地方のNGOや地域的・国際的なNGOの役割、連携の実態、上記ガバナンスとの関係を検討するため、フィリピンの地方における調査を中心的に実施した。とりわけ、ローカルNGOへの取材を重点的に行い、政府関係機関等との相互関連に関する情報収集に力を入れた。この点に関しては、これまでに収集した資料・データとあわせ分析を進め、論文の執筆に着手しているため、研究の目的を概ね達成することができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、フィリピンとマレーシア、およびフィリピンと日本といった2国間での取り組みの検討を実施し、市民活動を重層的なガバナンスに有機的に位置付けるには何が求められるのかの検討を実施する。それにより、各国の市民社会組織がどのように連携して活動しているのか、その活動が、国家や国際機関がリージョナル、グローバルなレベルで進める協力とどのように関連しているのか、ローカル/ナショナルな課題改善にどのような役割を担うことができるのかなどを明らかにし研究の目的を達成する。 上記の点に関して、関連文献・一次資料の収集と分析、関係機関への訪問、関係者への聞き取りなどを主として、研究を進めていく。特に、フィリピンのマニラ、マレーシアのクアラルンプールに渡航・滞在し、現地調査に重点を置いて研究を推進する。加えて、研究の成果を学会報告や論文執筆によって発信していく。
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Causes of Carryover |
フィリピンにおける調査では、マニラと地方都市に滞在して主に市民社会組織への聞き取りを実施する予定であったが、マニラを拠点とする市民社会組織への聞き取りに関しては双方の日程の調整がつかず、実施することができなかった。そのため、マニラにおける滞在費、謝金等の未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のように実施できなかったフィリピン・マニラでの聞き取り調査を実施することとし、未使用額を渡航費・滞在費等に充てる。
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