2013 Fiscal Year Research-status Report
高度成長期の日本経済外交の史的研究―貿易・資本自由化、国際金融、南北問題―
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24730160
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
高橋 和宏 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 准教授 (70468726)
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Keywords | 日本外交 / ドル防衛協力 / 貿易自由化 / 日米関係 / 高度成長 |
Research Abstract |
平成25年度においては、研究課題として掲げた、高度成長期における日本の経済外交をめぐる4つのテーマ(①貿易自由化の拡大、②国際金融体制の動揺、③資本自由化の進展、④南北問題の浮上)のうち、特に①及び②をめぐる日本外交について研究を進めた。また、池田勇人の経済外交思想や1970年前後の国際経済秩序変動期における日本の経済外交の特質についても研究を進めた。 (1)ドル防衛協力問題と沖縄返還交渉との連関性を考察した学術論文「ドル防衛と沖縄返還をめぐる日米関係 1967-1969」を執筆し、『防衛大学校紀要』に投稿した。また、「「経済大国」日本の経済外交戦略―アジア太平洋経済圏の形成と日本、1968~73年―」(波多野澄雄編著『冷戦変容期の日本外交』(ミネルヴァ書房、2013年)所収)では、1960年代後半から70年代前半にかけての日本の対アジア太平洋経済外交政策を分析し、その特質が自由貿易体制の柔軟な定着を目指した点にあったことを明らかにした。 (2)二松学舎大学東アジア学術総合研究所ワークショップ「戦後日本における「自由」主義―反共・国際化・市場至上主義―」において、「池田勇人の経済外交思想:「自由貿易主義」の受容と展開」と題する報告を行い、池田の経済外交思想の発展プロセスを追いながら、その自由貿易主義的思想が池田政権期の経済外交への強く反映していたことを明らかにした。 (3)外務省外交史料館や国立公文書館において、貿易自由化に関する関係省庁史料の調査・収集を行った。これらについては、次年度以降に解読・分析を進め、論文執筆へとつなげていくこととしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該テーマに関して、計画初年度からすでに学術論文(掲載済み3本、投稿中1本)の発表や学会等での報告を実施できており、順調に研究成果を残すことができた。また、国内外(外務省外交史料館、米国立公文書館等)での資料調査もこれまでのところ概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成25年度に引き続き、国内外での一次史料の網羅的な調査・収集を継続する。国内については、外務省(外交史料館)が数カ月に一度程度の頻度で外交文書を公開しているので、これまでに引き続きその公開状況をフォローし、最大限利用する。また、海外の公文書館については、ジョンソン大統領図書館のほか、英国国立公文書館での調査も検討する。 (2)これまでの考察において、高度成長期の日本の経済外交における核心的な問題は「国際収支の均衡」を図りながら国内では高度成長を維持しつつ、対外的には特に米国との関係において、米国からの要請(貿易自由化・輸出自主規制・ドル防衛協力)と米国への依頼(長期資本の導入等)の両立を図っていく点にあったことが明らかとなってきた。この視角を中心に据え、平成26年度の最終的な成果発表(単著)に向け、論文執筆を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度においては、当初予定していた海外での資料調査が諸事情により実施できなかったことなどから、次年度使用額が発生した。 平成26年度において、前年度予定していた分の海外資料調査等を実施する。
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