2012 Fiscal Year Research-status Report
心理学的効果が意思決定のタイミングに与える影響の公理的基礎づけとその応用
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24730168
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
小井田 伸雄 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (30363724)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メニュー選好 / 不完備選好 / 確率的選択 / 選択の先延ばし |
Research Abstract |
平成24年度は確率的選択と内的葛藤についての基礎的な研究結果をそれぞれ論文「Anticipated Stochastic Choice」「A Decision Time Theory」としてまとめ、前者については国際学術雑誌への投稿を行い、後者についてはSWET2012・第18回DCコンファレンスなどの学会・セミナーで報告を行った。前者については残念ながら不採択となったものの、重要な論点についての示唆が得られたため、それを参考に改訂を進めた。 具体的には、確率的選択に関しては以下の方針で論文の改訂を進めた。まず、本研究課題ではメニュー内の選択肢の相対的な性質がメニューからの選択に大きい影響を与える状況を主な分析対象としている点を強調することにより、顕示選好の弱公理を満たさないアノマリーや異なるメニューからの選択が相関するという仮定をより精緻に特徴付けられることを示した。また、公理やその解釈、先行研究との相違をより深く議論することで本研究課題の貢献をより明確にした。これらの改訂により、選択における心理学的効果を数理モデルによって分析するという本研究課題の目的により適合する研究内容にすることができた。 内的葛藤による選択の先延ばしについては、コンファレンス等での発表やそれに対するコメントに基づき、現在も改訂を進めている。特に、決定の先延ばしが生じる場合の一般化や決定の先延ばしにより損失が生じる状況の分析などは重要な拡張だと考えられるため、これらの場合も考慮する形で分析を次年度以降も研究を継続したい。このような分析を行うことにより、より広範囲の心理的効果の分析が可能となるとともに、従来の経済モデルとの関連がより明確になることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、研究計画はおおむね順調に進展している。「研究実績の概要」に記載したように、確率的選択に関する研究も内的葛藤による選択の先延ばしに関する研究も、口頭発表やそれに関する議論などにより、心理的効果を考慮した選好の数理モデルによるより精緻な分析を行うという本研究課題の意義をより深める方向で研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、前年度に引き続き確率的選択と内的葛藤による選択の先延ばしのモデル分析を進めるとともに、それらの拡張についても検討する。たとえば、フレーミングなど新たな心理学的効果を同様の数学的方法論で分析したり、時間を通じた消費を考慮するなど伝統的な経済モデルに近い形でモデルを拡張するなどの方向性が考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、現在進めている研究の国際学術雑誌への投稿や各種学会による発表・情報収集を中心に研究費を使用する予定である。具体的には、英文校正代、学会出席のための旅費、書籍やPCなどの購入費などに充てたい。
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