2013 Fiscal Year Research-status Report
輸出企業の異質な生産性と流動性制約の相互作用が国際相対価格に与える影響について
Project/Area Number |
24730170
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小阪 みちる 上智大学, 国際教養学部国際教養学科, 助教 (50612082)
|
Keywords | 国際相対価格 / 為替レート / 輸出企業 / 金融制約 |
Research Abstract |
本研究の平成25年度の成果は、論文"Financial Constraints, Firm Entry, and Exchange Rate Pass-Through"の執筆である。この論文は、平成25年6月に開催された日本経済学会において発表し、参加者からのコメントを踏まえた上で、平成24年度に執筆したものを大幅に改訂し、平成25年度にEconomics Lettersに投稿した。レフェリーのコメントに基づいた更なる改訂を経て、平成26年度内に同ジャーナルから出版された。この論文は輸出企業が直面する金融制約が、為替レートのパススルーに与える影響を考察したものであるが、改訂後の論文では、輸出企業の直面する金融制約の仮定を改訂以前のバージョンより単純化したことで直感的に理解しやすい形とした。また、分析を企業の市場への参入がおこる長期に絞り、より詳細な分析を試みた。理論分析の結果、金融制約が強まるほど、パススルー率は高くなることが示された。また、金融制約が価格のみならず輸出量に与える影響についても理論的に分析した結果、制約が強まるほど、為替レートの変動に対して輸出量が反応する度合いが強まることが示された。この論文での分析は静学的なモデルを用いたものにとどまったが、今後、動学的な分析に発展させていきたいと考えており、輸出企業の金融制約についてどのような追加的な仮定が必要になるかを考えていく必要があると思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度内には、論文"Financial Constraints, Firm Entry, and Exchange Rate Pass-Through"の改訂を行い、学会で発表した上で、ジャーナルに投稿することができた。今後の動学的な分析や実証分析への基礎となる分析を終えることができたため、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度中の研究は理論モデルの静学分析が中心であった。平成26年度以降の研究では、これを発展させて動学的な分析を行う必要がある。また、為替レートのパススルーの問題のみならず、国際相対価格と輸出企業の直面する金融制約の関係についても分析を発展させていきたいので、引き続き物価指数・金融指標を組み合わせるデータベースを構築していきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データベース構築のために必要なリサーチアシスタントが当該年度は不要であったため、次年度使用額が生じている。 使用計画として、データベース構築・実証分析に必要なソフトウェアおよび書籍の購入、リサーチアシスタントに支払う謝金を考えている。
|