2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730175
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井上 智洋 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教 (90547093)
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Keywords | ニューケインジアンモデル / ラーニング・バイ・ドゥーイングモデル / 貨幣成長 / 産出ギャップ / 経済成長 |
Research Abstract |
「貨幣経済が経済成長に与える長期的な影響」という論文を書いてケインズ学会で発表した。この論文では、ニューケインジアンモデルとラーニング・バイ・ドゥーイングモデルを統合した。より具体的には、動学的一般均衡(DGE)モデルに、名目賃金粘着性とラーニング・バイ・ドゥーイング及び知識のスピルオーバーによる内生的経済成長を導入した。このようなモデルの定常状態の分析によって、以下の帰結が示された。長期において物価上昇率は貨幣成長率と経済成長率の差に等しい。より高い貨幣成長率は、より多い雇用量とより高い経済成長率をもたらす。物価上昇率と経済成長率との間には、正の相関関係がある。貨幣成長率を経済成長率に等しくする時、ゼロインフレと自然雇用水準、潜在成長率が実現する。経済成長率より高い貨幣成長率は、インフレーションと正の雇用ギャップ、潜在成長率以上の経済成長率をもたらす。経済成長率より低い貨幣成長率は、デフレーションと負の雇用ギャップ、潜在成長率未満の経済成長率をもたらす。このような結果が得られたことは、デフレーションと負の雇用ギャップ、低い経済成長率の3つが低い貨幣成長率という単一の要因によって説明できることを意味する。したがって、日本経済の「失われた20年」という長期不況が、貨幣成長率の低下によって発生した可能性が理論的に示されたことになる。また、これは貨幣成長率を上昇させるような政策が、デフレからの脱却ばかりでなく経済成長率の上昇をも促進させることを意味する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文「貨幣経済が経済成長に与える長期的な影響」については、解析的な分析のみを行い、数値シミュレーションを実施していない。また、学会で発表したが海外ジャーナルに投稿していない。
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Strategy for Future Research Activity |
論文「貨幣経済が経済成長に与える長期的な影響」の数値シミュレーションを行い、海外ジャーナルに投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文「貨幣経済が経済成長に与える長期的な影響」については、解析的な分析のみを行い、数値シミュレーションを実施しておらず、また海外ジャーナルに投稿していないため。 数値シミュレーションを行った上で、海外での学会発表を行い、また海外ジャーナルに投稿する。助成金は、旅費とジャーナル投稿のための校閲などに用いる。
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Research Products
(4 results)