2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730175
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井上 智洋 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教 (90547093)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 内生的経済成長 / ニューケインジアン / DGE / 名目賃金粘着性 / ラーニング・バイ・ドゥーイング |
Outline of Annual Research Achievements |
「内生的経済成長」というサブテーマで研究を進め、長期において貨幣成長が経済成長に及ぼす影響についての理論的分析を行った。まず、ニューケインジアンモデルとラーニング・バイ・ドゥーイングモデルを統合したモデルを構築した。すなわち、DGEモデルに、名目賃金粘着性とラーニング・バイ・ドゥーイング及び知識のスピルオーバーによる内生的経済成長を導入した。このようなモデルの定常状態を分析することによって、以下の帰結が得られた。長期において物価上昇率は貨幣成長率と経済成長率の差に等しい。より高い貨幣成長率は、より多い雇用量とより高い経済成長率をもたらす。物価上昇率と経済成長率との間には、正の相関関係がある。貨幣成長率を経済成長率に等しくする時、ゼロインフレと自然雇用水準、潜在成長率が実現する。経済成長率より高い貨幣成長率は、インフレーションと正の雇用ギャップ、潜在成長率以上の経済成長率をもたらす。経済成長率より低い貨幣成長率は、デフレーションと負の雇用ギャップ、潜在成長率未満の経済成長率をもたらす。以上の結果を「貨幣成長が産出ギャップと経済成長に与える長期的な影響-ニューケインジアンモデルとラーニング・バイ・ドゥーイングモデルの統合-」という論文にまとめ、日本金融学会2014年度春季大会(慶應義塾大学)と日本経済学会2014年度春季大会(同志社大学)で発表した。また、早稲田大学現代政治経済研究所Working Paper Seriesで公開した。
|