2013 Fiscal Year Research-status Report
最適資源配分政策に関する理論的研究-生産性格差・レントシーキング活動の影響-
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24730182
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
土居 潤子 関西大学, 経済学部, 教授 (00367947)
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Keywords | 異質性 / レントシーキング活動 / 失業 |
Research Abstract |
政府が、補助金や公共事業などを行いその支出を増加させた場合、企業のレントシーキング活動がどのように変化するか、また、その結果、企業の参入・退出にどのような影響を及ぼすかについて理論モデルを構築し分析を行った。企業の生産性がパレート分布に従うこと、また、企業の生産性に応じて賃金が決定されると想定して、失業が存在する経済を考えた。このモデルにおいて、失業率や経済厚生に与える影響について分析を行った。 政府支出を増加させたとき、条件によって、低生産性企業がレントシーキング活動を活発化させて多くの補助金を得ることにより、これらの企業の退出が進まないことを理論的に明らかにした。しかしながら、企業の温存により雇用が確保されるため失業率を低下させる効果があることが分かった。したがって、政府支出を増加させた場合には、経済の平均生産性は低下するが、雇用が確保されることによって、より多くの人が賃金を得ることができるため経済全体の厚生が上がる場合があることを示した。また、この現象が発生する条件を数値計算により明示的に示した。この条件は、レントシーキング活動に関するものであり、現実的に妥当であることを示す必要があろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論モデルの構築を行い、政府支出による失業率や経済厚生に関して先行研究をもとに数値計算を行った。これらにより、低生産性企業の温存が経済厚生を上げる場合があることを具体的に示すことができた。同様に、条件によっては、低生産性企業を市場から退出させる方が経済厚生を上げる場合があることも示した。この研究の成果をワーキングペーパーにまとめることができた。よって、おおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、これまでに作成したモデルにもとづき、政府支出の増加によって、1.レントシーキング活動が資源配分を歪め経済厚生を悪化させる場合、その改善のための政策 2.低生産性企業が退出した場合の失業対策などについての研究を計画している。 研究を推進するためには、国内・国外を問わず学会や研究会等で積極的に研究成果の報告を行うことが重要であると考える。様々な観点からのコメントをいただくことにより、構築したモデルの問題点や不足している点が明らかになる。その改善に努めることで論文の完成度を高めていきたい。そして、学術雑誌に積極的に投稿する予定である。また、様々な機会に多くの方と討論を行うことで、研究を促進することができると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際学会での発表が思うように叶わなかっため生じた。次年度は、国内・国外への学会・セミナー等で積極的に報告することで研究を進めていきたい。 論文執筆を進め、海外専門雑誌への投稿のための英文校正に支出を行う予定である。また、国内・海外学会への参加、研究協力者との打ち合わせ、専門知識の提供を受ける場合の謝金等に支出する予定である。
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