2012 Fiscal Year Research-status Report
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24730185
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
牧野 邦昭 摂南大学, 経済学部, 講師 (20582472)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高田保馬 / 人口 / 経済思想 / 社会思想 |
Research Abstract |
平成24年度前期は第3回ヨーロッパ経済思想史学会・経済学史学会(日本)合同研究会(3rd ESHET-JSHET meeting)で本研究の対象である高田保馬の社会経済思想に関する発表を行うための準備に費やした。8月10日に常翔学園大阪センターにて開催した研究会で9月の発表内容について日本語で報告し、他分野の研究者から意見をいただいた。9月12日から15日までフランスのコルシカ大学(University of Corsica)で開催された3rd ESHET-JSHET meetingにおいて、‘Population, War, and Land Planning: Yasuma Takata’s Socio-economic Theory and Arguments’というタイトルで発表を行った。この発表では高田保馬が人口増加を社会経済発展の主要要素として重要視しておりその理論は現在から見ても興味深いこと、しかしそれが戦時体制下の人口増加政策や国土計画と関係することになったことについて、日本の事情を詳しく知らない外国人にも理解できるように心がけて説明した。その結果、多くの外国人研究者から高い関心を持ってもらうことができ、日本の社会科学の蓄積を海外に発信することに貢献できたと考えられる。 後期は関係図書を購入するなど来年度の研究に向けた準備を主に行った。しかし依頼に基づき、11月に発表と一般向けの講演とを行った。前者の発表は11月9日の名古屋大学大学院経済学研究科平成24年度課題設定型ワークショップにおいて「高田保馬の農村論」というタイトルで行った。後者の一般向け講演は11月19日に「大阪府立大学の基礎を築いた人たち―高田保馬・本庄栄治郎」というタイトルで大阪府立大学中之島サテライトにて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度前半は申請時には予定していなかった海外発表を9月に行ったため、これまで行ってきた日本語の研究を英語に直して発表することに時間が割かれ、新しい研究は十分できなかったものの、研究成果の海外への発信という点では大きな成果を上げられたと考えられる。後半は高田保馬の人口論と高田の「芋食い論」に代表される生活水準低下論および「農村政策論」との関係を中心に研究を進めることができた。全体としてみればおおむね順調に研究成果を達成できていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、まず平成24年度後半に行った研究「高田保馬の農業論」を論文化して投稿する作業を行うと共に、以前行った研究「高田保馬の民族論」について後期に論文投稿・学界発表する予定である。25年度の終わりまで研究を続け、その成果を単著として出版できる水準と量にまで高めることを目指している。また平成24年度に引き続き高田の思想と人口問題に関する研究会を開催する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究費が生じたのは残額がごく僅かになったため次年度に回して高額書籍の購入に回そうと考えたためである。平成24年度は海外報告および新刊書の購入に多くを使用したが、平成25年度は古書を中心に購入する予定である。
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