2013 Fiscal Year Research-status Report
ノンパラ・セミパラメトリック計量経済モデルにおける統計的推測法の開発
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24730191
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 幸敏 東京工業大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50593589)
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Keywords | ノンパラメトリックモデル / 統計的推測 / 経験尤度法 |
Research Abstract |
第一に、``Second order refinement of Empirical Likelihood for Testing over identifying Restrictions'' (Otsu氏と共著)をEconometric Theoryという雑誌に掲載した。本論文では、一般の非線形「モーメント条件モデル」の特定化の検定において経験尤度法を適用することにより、「バートレット補正」と呼ばれる補正が可能となり、サイズ誤差を減少させることができることを示した。 第二に、``Estimation and Inference of Discontinuity in Density" (Otsu氏、Xu氏と共著)をJournal of Business and Economic Statisticsという雑誌に掲載した。本論文では、ノンパラメトリックに推定した密度関数(所得分布など)において、ある点における不連続性を経験尤度法を用いて検定する方法を提案した。経験尤度法を用いることにより、推定量の漸近分散を推定する必要なく、統計的推測を行えることを示した。また、提案された検定がバートレット補正可能であり、従来の方法を改良することを示した。 第三に、``Empirical Likelihood for Regression Discontinuity Design"(Otsu氏、Xu氏と共著)を執筆・改訂し、Journal of Econometricsという雑誌に再投稿した。「処置」の因果効果を推定するためのデザインの一つである「回帰分断デザイン」において、経験尤度法を用いた推定・検定方法を提案した。また、提案された検定がバートレット補正可能であり、従来の方法を改良することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セミ・ノンパラメトリックモデルにおける統計的推測法について一定の成果を挙げることができた。経験尤度法を特定のセミ・ノンパラメトリックモデルに適用する研究を行い、理論的正当化と共にシミュレーション実験を行う予定にしていたが、研究を進める中でさらに一般のセミ・ノンパラメトリックモデルへの適用、及び理論の一般化が可能であることが分かったため、理論部分を拡大し、論文を複数に分けて発表することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、「内生性を伴うセミパラメトリックモデル」、「セミパラメトリック・サンプルセレクションモデル」において、経験尤度法による統計的推測法を提案し、その有限標本性質を検討する。その上で、内生性の存在に伴って現れる「弱識別問題」を議論し、その解決法を提案する。次に、その他のノンパラ・セミパラメトリックモデル、具体的には「内生性を伴う分位点回帰モデル」、「ノンパラ・セミパラメトリック同時方程式モデル」における「弱識別問題」の解決法を検討する。最後に、セミパラメトリック計量モデルにおける統計的推測理論の構築を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経験尤度法を特定のセミ・ノンパラメトリックモデルに適用する研究を行い、理論的正当化と共にシミュレーション実験を行う予定にしていたが、研究を進める中でさらに一般のセミ・ノンパラメトリックモデルへの適用、及び理論の一般化が可能であることが分かったため、理論部分を拡大し、論文を複数に分けて発表することとした。 シミュレーション実験と研究成果の発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。また、共同研究者である大津泰介氏(London school of Economics)との打ち合わせのための費用にも充てることとしたい。
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