2014 Fiscal Year Research-status Report
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24730193
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白石 博 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (90454024)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 最適ポートフォリオ / 統計的推定 / 漸近理論 / ファクターモデル / 主成分分析 / 高次元データ / 国際研究者交流 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度に引き続き、理論面での調査を行った。本研究は、各資産の収益率過程がある有限個のファクターとそれに無相関な確率ベクトルで定式化されるファクターモデルに従うと仮定し、資産の数がファクターの数に比べて十分大きいようなモデルにおける最適ポートフォリオ(比率)を推定し、その漸近的性質を明らかにする事を主な目的とする。先行研究によると、Ross(1976)が提案した古典的なファクターモデルの正当性を資産数が発散するような場合でも同様に扱うことができる事をCamberlain and Rothschild(1983a,b)が示していることが分かった。さらに、Forni and Lippi(2001)は、この議論を時系列モデルでの設定に拡張し、generalized dynamic factor model(GDFM)というモデルを提案した。 また、古典的なファクターモデルを仮定したとき、最適ポートフォリオを構成するための統計的手法は状況によって2通りの方法が考えられる。 1つは、ファクターが観測されている場合である。この場合はファクターローディングを回帰モデルとして推定する方法であり、その推定は最小二乗法ではなく、LASSOなどを使う方が良いことが知られている。 一方で、ファクターが観測されていない場合は、static approach と呼ばれるPCA(principal component analysis; 主成分分析)を使った解析法がStock and Watson(2002)らによって提案されている。さらに、GDFMに対しては、dynamic approach という拡張した解析方法がForni, Hallin, Lippi and Reichlin(2000,2005)によって提案されている。 来年度は、後者のファクターが観測されていない場合の解析法を重点的に調べたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2014年度は、所属研究機関が変更となったため、研究以外の業務が格段に増加した。そのため、当研究に対するエフォートが当初予定していた割合に達していなかった事が大きな要因である。 また、研究計画段階では、LASSOを使って回帰モデルを推定するという手法で最適ポートフォリオ(比率)の想定をしていたが、一方で、ファクターが観測されていない場合の解析方法はPCAを使った手法が有効であることが分かり、こちらの研究に重点を置くという若干の方向転換が生じたことが、想定していたよりも時間が掛かってしまった要因の1つでもある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、理論面での調査を引き続き行うとともに、理論的結果を検証するための数値シミュレーションを同時に行う。資産の収益率過程がgeneralized dynamic factor model(GDFM)に従うと仮定し、dynamic approach を用いて最適ポートフォリオの推定問題を考える。さらに、資産数が発散する場合の漸近的性質を調べる。最終的には、理論に基づいて、数値シミュレーションおよび経験データを用いた検証を行いたい。
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Causes of Carryover |
研究成果が遅れている事と連動しているが、まだ先行研究の調査の段階であり、当初予定していた理論面の構築後の成果発表や数値的検証を行うための費用は未消化である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
先行研究の調査において、理解を深めるためにも国内外の研究者の招聘を行いたい。 また、出来る限り早急に理論面の構築を行い、成果発表の機会を作ったり、数値的検証を行いたい。 成果発表または招聘のために旅費を使用し、数値的検証に必要となるPC等の購入のために物品費を使用する予定である。
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