2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730194
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山口 圭子 兵庫県立大学, 経済学部, 講師 (60534964)
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Keywords | 時系列分析 |
Research Abstract |
フラクショナル和分過程(I(d)過程)は、経済・ファイナンスの様々なデータにおいて観測され、多方面に利用されている。特に経済データには非定常性を示すものが多いが、理論・技術的な難しさから非定常I(d)過程の分析手法が開発されたのは近年になってからである。そこで本研究では、定常I(d)過程において提案されている多変量モデルや非線形モデルを非定常I(d)過程へ拡張することを試みた。 1.見せかけの長期記憶性の検定 まず前年度に引き続き、シミュレーション実験を行い、結果を表にまとめた。次に先物為替プレミアムのデータを使い実証分析を行った。先行研究ではG7の先物プレミアム(対米ドル)のデータに非定常性があり、平均変化点を推定しその影響を取り除くと定常ではある長期記憶性は残ると報告されている。同様のデータとして円・豪ドル・加ドル・ポンドの先物プレミアム(対米ドル)のデータを用いて分析した。その結果、dの推定値はすべての系列において0.5より大きく非定常であり、また「見せかけの長期記憶性」という帰無仮説は棄却できなかった。 以上の結果を兵庫県立大学経済学部Development and Policy Seminarで報告した。 2.フラクショナル共和分検定 Robinson(2008)で提案されている共和分検定では、系列が非定常な場合はtaperingという手法でデータを変換する必要がある。局所Whittle尤度推定(LW)ではなく、非定常に適すように改良れたexact局所Whittle尤度推定(ELW)を用いると、taperingのようにデータを変換する必要がなくなりより多くの情報が引き出されるので、検定の検出力が高くなることが予想された。実際、各系列の和分オーダーdが既知の場合では、シミュレーション実験によりそのことが確認できた。
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