2014 Fiscal Year Annual Research Report
労働者の教育水準と専門性に着目した企業の労働需要行動の理論的実証的研究
Project/Area Number |
24730198
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
窪田 康平 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (20587844)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教育 / 労働市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、本研究は労働者の教育水準と専門性に着目し、企業の労働需要行動について理論的実証的に分析を行い、どのような企業で、どのようなタイプ(専門性・知識レベル)の労働者が求められているか、理系または文系といった専門性は重要なのか、を明らかにすることであった。前年度までに、先行研究のサーベイ、理論モデルの構築、データ収集を終えていたため、今年度は、(1)理系労働者と文系労働者、(2)理系大学院修了者と理系大学卒業者、(3)文系大学院修了者と文系大学卒業者の3つの代替の弾力性の推定を試みた。 分析結果、コンサルタント業・製造業・エネルギー業で大学院卒の採用者が多い一方で、専門的な知識が必要とされる金融業では大学院卒の採用者は2008年度のデータで1.6%に過ぎないことがわかった。さらに、非常に多くの企業で大学院卒を採用していないことがわかった。 当初考えていた理論モデルから代替の弾力性を推定するためには、大学院卒を採用した企業に限定する必要がある。大学院卒を採用した企業に限定すると、半数近くの観測数が脱落し、サンプルセレクションの問題に直面することになった。この問題を克服するために、大学院卒を採用するかの意思決定を考慮したモデルの構築に取り組んだ。その結果、モデルのパラメータの数が増加しモデルが複雑になった。このモデルの代替の弾力性を最尤法と非線形最小二乗法で推定したが、頑健な結果は得られなかった。 頑健な推定結果を得るために、企業の生産関数の関数形を変更したり、モデルに制約を課してパラメータの数を減らして推定した。その結果、いくつかのモデルで安定的な推定値を得ることに成功した。今後、この制約の妥当性を検討する必要がある。さらに、制約を緩めてより一般的な結果を得るために、新たなデータを収集するとともに、ベイズ推定を試みるなど工夫を行う予定である。
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Research Products
(2 results)