2013 Fiscal Year Research-status Report
日本の産業構造の経済分析:国際貿易論にもとづくアプローチ
Project/Area Number |
24730201
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清田 耕造 慶應義塾大学, 産業研究所, 教授 (10306863)
|
Keywords | 国際貿易 / 産業構造 / ヘクシャー=オリーン・モデル / 要素賦存 |
Research Abstract |
"Skills and Changing Comparative Advantage: The Case of Japan" 日本は今なお熟練労働集約的な財を純輸出しているのだろうか?本論文は,この疑問を,ヘクシャー=オリーン・モデルの要素コンテンツ・アプローチにもとづき,1980年から2005年までの過去25年のデータを用いて明らかにしようと試みたものである.分析には,経済産業研究所が整備する日本産業生産性データベース(JIPデータベース)を利用した.結果は衝撃的である.1980年から2005年までの間,日本は一貫して熟練労働集約的な財を純輸出していることが明らかになった.ただし,その程度は1994年をピークに低下を続けており,2000年代は既に1980年代の水準を下回っていることも明らかになった.これらの結果は,日本が熟練集約的な財に対する比較優位を失いつつあることを示唆している.この研究の成果は査読付きの国際的な学術雑誌の一つであるJapan and the World Economyに掲載されるた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,実証分析を進めることを目標としていた.平成25年度は,日本の産業構造の変化に伴い,日本の純輸出する財の資本集約度や熟練労働集約度がどのように変化しているかを分析した.この成果は,"Skills and Changing Comparative Advantage: The Case of Japan"という研究成果が査読付きの国際的な学術雑誌の一つに掲載が決まっていることから,概ね順調に進展していると評価した.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの分析は日本のデータを利用したものだった.平成26年度は日中韓の国際比較の分析へと拡張を試みる.具体的には,輸出と雇用の関係に注目し,産業構造の変化を通じた両者の関係の変化について分析する.分析には,WIODと呼ばれる国際産業連関表のデータベースを利用する.この成果を国内外の学会で報告し,国際的な学術誌へと投稿することで,成国内外へ成果の発信を行っていく.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度10月に研究代表者が横浜国立大学から慶應義塾大学に移籍したことに伴い,移籍前後の学会や研究会等の参加を見送ったこと,そして,当初想定していたデータ収集・入力の謝金を節約できたことが,次年度使用額が生じた主な理由である. 平成26年度は最終年度であるため,成果普及に重点を置く.具体的には,国際的な学会での報告と国際的な学術誌への投稿を試みる.このため,主に旅費と英文校正への支出を予定している.
|