2013 Fiscal Year Research-status Report
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24730208
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 泰裕 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30332703)
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Keywords | 経済政策 / 経済理論 / 都市経済学 / 地域経済学 / 空間経済学 |
Research Abstract |
今年度は、主に以下の三つの事柄についての研究を公開した。まず、空間構造を明示的に考慮したモデルに、出生率を内生的に決める枠組みを導入し、都市の社会的人口変化と自然人口変化の両方を統一して分析できる枠組みを構築した。それを用いて、東京大都市圏の人口変動をカリブレートし、様々な要素が都市規模にどの程度の影響をもたらすのかを数値解析した。現在の東京における低出生率、および、長年続く東京圏への人口流入に鑑みると、この成果は、地方と東京都の人口バランスや少子高齢化の問題への解決策を探るのに有用であると考えられる。 次に、複数地域と、その間での移住費用を考慮した職探しモデル(ジョブ・サーチモデル)を構築し、移住費用の社会厚生への影響、および、その労働市場への影響を、定性的、定量的にあきらかにした。それにより、移住費用の存在が、市場にゆがみをもたらすこと、そして、その定量的な影響は、生産性の3割程度の変化と同程度であることを示した。この結果は、航空網や鉄道網、高速道路網の整備といった地域間の移動費用を下げる方策について、費用便益分析を行う際に有用であると考えられる。 最後に、人的コネクションを考慮した職探しモデルを構築し、都市化と、職探しにおける人的ネットワーク選択との関係を分析した。それにより、経済規模が大きくなるにつれて、都市化が進展し、それとともに、もともと親しい人々(身内)とのネットワークより、弱いつながりを持つ人々とのネットワークを重視するようになり、そこから職に関する情報を得るようになることが分かった。この結果は、地域の雇用問題を考える上で、人的ネットワークが重要であることを示しており、就業支援政策の立案に有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に計画していた分析はほぼ完了し、研究成果の一部はすでに査読付き雑誌に投稿・受理された。のこる成果もほぼ投稿済みで、結果を待っている段階である。未投稿の成果も一部存在するが、それについては現在数値解析を別角度からやり直しているところであり、来年度ある程度早い段階で投稿可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの理論分析の成果を実際のデータに対してキャリブレーションして、数値解析に欠ける作業までは完了したが、さらにデータを充実させてより緻密な実証分析を行うことができないか、検討する予定である。当初はカナダの人口移動のデータを利用することを計画していたが、利用申請に時間がかかり、平成26年度末までに分析が完了する見込みがたたないことから、データ利用申請を断念し、代替手段として日本の人口移動データを利用することを考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込額と執行額が異なってしまった。 当初の見込額と執行額は異なったが、研究計画に変更は無く、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(5 results)