2012 Fiscal Year Research-status Report
国際間の生産移動・生産委託と経済発展・景気の国際マクロ動学分析
Project/Area Number |
24730209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橋本 賢一 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (70403219)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際経済学 / 国際マクロ動学 |
Research Abstract |
本研究では生産拠点の変化を導入した国際マクロ動学理論モデルにおいて、海外への生産拠点のシフトや、企業の国際活動に対しての経済政策・貿易政策が、自国および対外諸国のマクロ変数(GDP・消費・雇用率)や為替レート、経常収支、および経済厚生にどのような効果を及ぼすかを分析するものである。特に海外生産シフトやオフショア・アウトソーシングの効果について考察をおこなう。 本年度は以下3本の論文をまとめた。生産拠点と雇用変動の論考(1)と、さらに、経済成長を導入する試みをおこない、議論の前段階として、完全雇用下でのモデルを用い、経済成長をもたらすR&D投資と国際間の生産拠点の変化を考慮できる2つのモデル(2)(3)を構築した。具体的には以下のとおりである。 (1)生産拠点の変化と失業率の関係を内生的に捉えた基礎モデルとして、流動性のわなを通じた需要不足による貨幣的不況モデルを構築し、生産技術の変化により、中間財の海外生産シフトを分析をおこなった。 (2)研究開発をおこなう国(north)と技術を模倣する国(south)の2国モデルのもとで、northが生産部門の一部をsouthに外生的な技術変化によって生産拠点を移動させた場合に経済成長に与える効果を分析した。 (3)実証研究に沿うような人口規模や人口成長率が必ずしも経済成長を高めることはないとしたfully endogenous modelの枠組みのもとにおいて、モデル分析から、規模が異なる2国間を想定するとき、大きな規模の国への生産拠点が高まるかを確認し、経済成長に与える効果を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究課題に従って3本の論文をまとめた。 (1)で得られた結果は、「海外アウトソーシングと景気」『不況の経済理論』共編著(小野善康・橋本賢一;岩波書店2012年8月(ISBN: 978-4-00-024673-6))の第10章の論考としてまとめられ出版された。 (2)で得られた結果は、“International Outsourcing and Long-run Growth in a Variety Expansion Model” Theoretical Economics Letters (2012), Vol. 2, No. 4, pp. 391-394.でまとめられ出版された。 (3)で得られた結果は、“R&D Subsidies, International Knowledge Dispersion, and Fully Endogenous Productivity Growth,” (2012), ESRI Discussion Paper Series, No. 288, 内閣府経済社会総合研究所.でまとめられ、また日本経済学会にて研究報告をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず初めに、平成24年度においてdiscussion paperでまとめた(3)の研究を、日本経済学会でいただいたコメントをもとにモデルの改善をおこない、修正を加えて、学術雑誌へ投稿することを考えている。 また(1)や(2)の拡張的な応用に関してもモデル分析をおこない、それぞれ論文としてまとめていく。 そして、当初の研究テーマの雇用変動に関して、分析を進め、他のアプローチに関してサーベイをおこなったうえで、モデルを構築し、分析を進めることにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
構築された失業が存在する国際マクロ動学モデルのもとで、経済環境のパラメータについて解析的に均衡の性質を調べる。そのため、必要となる数理統計ソフトを購入する予定である。 モデル分析をおこなったそれぞれの研究について、コメントをもらうために、研究テーマに関しての有識者のところに研究報告をする。また日本経済学会や他の学会等で、研究成果を報告する予定である。 雇用変動の他のアプローチの仕方に関してのサーベイのために、海外の学会や、国内の学会に参加をして資料を収集する予定である。
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